強姦殺人の引き金はチャットサイト? 少女が信じた好青年の正体とは

2002年12月、アメリカ・アーカンソー州に住む13歳の少女が失踪する事件が発生した。部屋には争った形跡があるため、警察は単なる家出ではなく事件性があると判断。誘拐事件の線も想定し調査を開始した。

失踪した少女の名前はケイシー。警察官の父親と大学生の兄を持つ、ごく普通のティーンエイジャーだ。田舎町のため近所に遊び相手のいないケイシーは、毎日のように中学校の友人たちとチャットに明け暮れる生活を送っていた。

ある日、ケイシーは匿名で自由に出入りできるチャットルームで、カリフォルニアに住むデイヴという17歳の少年と意気投合する。ギターやサーフィンが趣味のデイヴは13歳の少女にとっては憧れの対象で、ケイシーは彼に夢中になっていく。2人は次第にパーソナルな悩みを打ち明けるようにもなり、とうとう電話で話すまでの関係に発展した。

しかし、ケイシーは新たなチャットフレンドのスコットにも気持ちが傾き始める。なんとも思春期の少女らしい話だが、2人の間で気持ちが揺れ動いたケイシーは“相性占い”で良い結果が出たスコットを選び、実際には会ったことがないにも関わらず交際することに。

一方、表向きにはスコットとの交際を応援しているように思えたデイヴだったが、同時にあの手この手でケイシーへのアプローチを強めていく。とうとう「アーカンソーに住む叔母を訪ねるついでに会わないか?」と提案してきたが、ケイシーはこれをきっぱりと拒否。彼女が失踪したのは、そのやり取りからしばらく経った頃だった。

失踪の真相を探るべく、警察はケイシーの最後の通信相手となったスコットを調査するも、彼はプロフィール通り14歳の少年で、事件当日には自宅にいたというアリバイもあった。チャットのログから真相に近づけない警察だったが、ケイシーの友人の証言からデイヴの存在を知り、事態は急展開を迎える。

その証言から警察は、デイヴという男が現在アーカンソーに来ている可能性が高く、失踪事件と何らかの関りがあると判断。そして、地元のモーテルに怪しい男が宿泊していることを突き止めた。

通話記録やクレジットカードの使用履歴から、彼が地元の貸倉庫に潜んでいる可能性が高いと見た警察は現場へ急行。倉庫に鍵はかかっていなかったが、犯人が武器を持っていることを想定して3時間にもわたり説得を試みるも反応はない。しびれを切らした警察はとうとう倉庫に突入するが、そこにはすでに息絶えたケイシーと、犯人と思われる男の遺体があった。

“カリフォルニアに住む17歳”という設定でケイシーに近づいたデイヴの正体は、未成年暴行の前科を持つ47歳の妻子持ちの男だった。事件当日、男はケイシーを倉庫に誘拐し監禁。性的暴行を加えた後に銃で殺害し、その数時間後に自身も銃で頭を撃ち抜き自殺を図ったというのが、今回の失踪事件の全容だった。犯人は事前にアーカンソーを訪れ倉庫の場所をチェックするなど、周到に計画された犯罪だったようだ。

悲劇的な結末を迎えてしまったこの事件だが、ケイシーの父はこの経験を糧に非営利団体を設立し、ネットの危険性を若者に伝える活動を行っているという。この事件が起こった2002年から十数年、著しいネットの発展がこういった危険を排除する方向へ導いてくれることを願う。

 

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