特集

キーワードは”即対処、即搬送”―― 獣医師が教える、イヌの熱中症対策

  • 2018.08.10 16:00
  • ライフスタイル

車で病院に搬送しているときこそが危ない――
未曾有の猛暑を前に覚えておきたい、イヌの熱中症の初期症状と初期対応

7月16から22日までのわずか一週間で、2万を超える人数が熱中症で搬送された2018年の夏。消防庁によれば、それまでにもっとも熱中症による搬送者数が多かった年は2015年7月の12064人だということからも、今年の猛暑の異常ぶりがうかがえる。愛するペットとこの異常気象を乗り越えるため、先日もインタビューを実施した獣医師の千田純子氏に、イヌの熱中症についてより詳しい話を急遽うかがった。


◆動物病院へ搬送する時も体を冷やし続けるのを忘れずに

 

――イヌの熱中症の初期症状について、あらためて教えてください。

千田純子氏(以下、千田):体温や心拍数の上昇、激しいパンティング(喘ぎ呼吸)、流延(流れ出る涎)などが挙げられます。私たち獣医師は様々な身体症状から判断しますが、これは専門家ではない方には難しいかもしれません。

――そうした初期症状が見られたら、すぐ病院に連れていくべきですか。

千田:もちろんです。ただ、この時にもう一つ気を付けていただきたいのは、”病院に連れていくまでの時間も対処が必要”だということです。濡れたタオルで体をくるんだり、頸部や脇の下に冷たいタオルなどをあてて血管を冷やして、体温を下げる対応をしながら搬送してください。これを怠ると、搬送中の車内で悪化してしまうケースもあります。

熱中症への対応の原則は”即対処、即搬送”です。症状が出てから1時間、2時間が経過してしまうと、最悪の場合、血液のまざった嘔吐やけいれん、呼吸不全などを引き起こし、命に関わります。決して軽く見ないことが大切です。また、こういう時に備えて、かかりつけの動物病院はいざという時のために自宅やお散歩の行動圏内から30分以内の場所にある動物病院を作っておきましょう。確かに設備の整った大きな動物病院は信頼できるかもしれませんが、遠い時は緊急の時に間に合わない時もあります。

――初期症状が出たあとの応急処置について詳しく教えてください。たとえば、自宅で呼んだタクシーがくるまでの間にできることはありますか。

千田:水をかける、ぬれたタオルでくるむなどして、イヌの体温を下げるように努めてください。体にかける水は、水道水程度の温度。冷たすぎると、皮下の血管の収縮を招いて血流が悪くなり深部体温を下げづらくなってしまいます。イヌの体温は39.4℃よりも下がるまで続けてください。

もちろん、水分補給もお忘れなく。イヌ用のスポーツドリンクがあればそれを与えてください。ない場合は、冷水に塩を入れたものを与えたり、人間用のスポーツドリンクを2~4倍程度に希釈したものを飲ませたりしてあげてください。

Credit: Getty Images

 

◆「夏の間は散歩させない」はアリ?

 

――熱中症になりやすい状況としては、どのようなものが挙げられますか。

千田:締め切った屋内や車中、猛暑日における屋外での係留は言うまでもないかと思いますが、お散歩にも気を付けてあげてください。イヌはお腹や頭の位置が人間よりもずっと地面に近いので、アスファルトの輻射熱をより強く受けます。私たちには過ごしやすく感じられる時間帯も、イヌもそうであるとはかぎらないのです。私自身イヌを飼っていますが、夏の時期は8時から20時までの間は散歩させないようにしています。自分の手でアスファルトを触ってみて、犬が散歩できるかどうか確認してみてください。手で触れないほど熱いようであれば、靴を履いていないイヌは足の裏の肉球を火傷してしまうかもしれません。

――そうなると、散歩をさせられない日も出てきてしまうかもしれません

千田:多少運動不足になってしまうきらいはありますが、成犬なら「今年は猛暑だからお散歩を少なめにする」というのもひとつの手です。エネルギーが有り余っている元気な犬の場合は、室内で頭を使ってする遊びをして、エネルギーの発散に努めてあげるのがいいでしょう。ですが、飼い始めたばかりの子犬の場合は、できれば時間帯を選んでお散歩させてあげてください。

イヌは、小さいころに会わなかったものを警戒・攻撃しやすいという習性があります。逆に言えば、小さいころからお散歩させて色々なものに触れさせておけば、その分問題行動が少なく、安全で、飼いやすいイヌに育ちやすくなるということです。ひとたび問題行動を起こすようになってしまうと、しつけなおすのにとても時間がかかりますし、問題が出てくると獣医師もスムーズな診察ができなくなることがあります。生まれてから最初の2年間くらいが大切な時期ですので、夏でも適度なお散歩を心がけましょう。夏に散歩をしないでおくと、秋になってまた散歩をしようと思ったら、散歩を嫌がったり、人や犬に吠えるようになってしまったということが出てくるかもしれません。

――その他、注意すべきことがあれば教えて下さい。

千田:熱中症予防のため、ペット用の冷却グッズを取り入れるのもよい手です。ただ、クールマットにはさまざまな種類がありますが、たとえばジェルタイプのマットは私たち人間が使うものと同様、気温が高いところでは効果がない場合もあります。よく考えて、ご自身やイヌの環境に合うものを選びたいですね。これは先日もお話しましたが、ケージやハウスの中にマットを置く場合は床面の全面を覆わないサイズにしてください。逆に体が冷えすぎたとき、イヌに逃げ場がなくなってしまいます。

また、これは熱中症の初期症状とは異なるのですが、屋外で係留しているイヌが穴を掘りだして困っている、というご相談を受けることがあります。これは、夏場であれば暑さをしのぐためにしている可能性がありますので、イヌにとって過酷な環境になっていないか、一度見直してあげてください。


ペットの熱中症は、屋外のみならず屋内にいる時でも気を付けなければならない――これを踏まえて導入を検討したいのが、外出時でも遠隔見守りができるカメラだ。

パナソニックの「屋内スイングカメラ」なら、1台で4箇所まで撮影位置を設定できるので、ケージや水飲み場、ペットのお気に入りの場所などを登録しておけば、外出時や仕事先からでもペットの安全を逐一確認できる。温度センサーも備えているので、快適な温度を保てているかも、合わせて確認したい。

機器の接続が容易なのも「屋内スイングカメラ」の魅力のひとつだ。まずは、製品に同梱される「ホームユニット」を無線LANに接続。次に、手持ちのスマートフォン/タブレットに専用アプリ「ホームネットワーク」をインストールすれば設定は完了だ。1台のホームユニットにつきスマートフォン/タブレットを最大8台まで登録できるので、家族複数人でペットを見守ることもできる。

ペットだけでなく、人間ですら熱中症で倒れる者が後を絶たない2018年の夏。こんな年は、熱中症への対策をいくらしても、しすぎるということはないはずだ。千田氏の助言をもとに打てるだけの対策を講じ、健康に乗り切っていきたい。