特集

【明日への扉】刀鍛冶 〜 一鍛入魂 日本の技と魂をつなぐ鍛錬 〜 前編

  • 2021.05.28 18:00

およそ1000年前の平安時代中期に誕生し、脈々と受け継がれてきた日本刀。優美な曲線を描く独特な反り、鍛え上げられた地鉄(じがね)、そして刃文の華やかさに、日本人の美意識が集結している。

 

また、日本刀は古来神が宿る神器としても尊ばれてきた。その鋭い斬れ味と、折れにくく曲がりにくい特性は、日本人の精神性をも表していると言えよう。これらの特性はすべて、鍛錬を重ねた刀鍛冶の技と魂によって生み出されている。

 

最近の漫画やアニメを通じて日本刀の魅力に目覚めた人は多いように思う。しかし、刀鍛冶が現在なお活躍しており、日々新しい日本刀が鍛錬を経て生み出されていることを知らない人は案外多いのではないだろうか?

 

現代の刀鍛冶の里は、意外にも都会の只中にあった。

 

東京都葛飾区高砂。下町情緒あふれる住宅街に、日本刀鍛錬道場はある。ここに、日本刀作りに魅了され、いにしえの匠の精神を受け継ぐ若者たちがいる。

 

一番の兄弟子、羽岡慎仁(はおか まこと)さん(31)は葛飾区柴又で生まれ育った。漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の主人公である両さんが日本刀作りに励むエピソードが、幼心にも印象的だったそうだ。高校生だったある日のこと、テレビの放送を通じて日本刀鍛錬道場が隣町にあることを知った羽岡さんは、持ち前の行動力を活かして直接道場へ向かった。そして、そこで将来の師匠・吉原義人(よしはら よしんど)氏との運命的な出会いを果たした。

吉原氏は、刀剣界の最高位である無鑑査刀匠に史上最年少で認定された、人気・実力ともに当代随一を誇る名匠である。

 

羽岡さんは運命に導かれるままに吉原氏の元で5年間修業を積み、文化庁主催の「美術刀剣刀匠技術保存研修会」を修了。晴れて一人前の刀鍛冶となった。その後の7年間は、アルバイトを続けながら師匠の元へ通い、作刀と向き合う日々を送ってきた。

 

日本刀作りは鍛錬に始まり、鍛錬に終わる。

 

「火床(ほど)」と呼ばれる炉に超高純度の和鋼を沸かしては、8キロもある大槌を力いっぱい振り下ろして打つ。この沸かしてたたき、沸かしてはたたく作業を何度も繰り返すことにより、鋼の層が何万、何十万と形成されていく。

「折り返し鍛錬」と呼ばれるこの行程こそが、日本刀の美しい地鉄と強靭な刃を生み出しているのだ。

 

当然、折り返し鍛錬は独りでは行えない。火床に鋼をくべる総指揮官ともいうべき「横座」、そして沸かした鋼を大槌で鍛える「先手」。刀鍛冶たちが息を合わせて鍛錬することで、初めて日本刀作りが成り立つ。

 

お互いの存在を不可欠としている反面、刀鍛冶たちはライバル同士でもある。作刀承認の試験を控える者。日本美術刀剣保存協会主催の「現代刀職展」への出品を控えている者。このコンクールで賞を取れるかが現代の刀鍛冶の重要な評価のひとつとなっているだけに、緊張感は否めない。

 

果たして思い描いた通りの日本刀は出来上がるのだろうか。それぞれの明日への扉が、今開かれようとしている。

 

 

続きは、ディスカバリーチャンネル放送から。

 

 

 

~at home presents明日への扉~

 

10月から放送時間を30分に拡大!

 

ディスカバリーチャンネルにて毎月第3木曜日 19:30~20:00、再放送は翌々週の日曜日 08:30~09:00 に放送中

 

明日への扉公式ページはこちらから。

 

https://www.athome-tobira.jp/

 

Text by Discovery編集部