
2泊3日のレポート
3月27日(火)– 初日 –
- 天気曇り
- 気温24℃
- 風東北東の風5m
羽田空港に集合

全国から選ばれた20人のキッズ・ジャーナリストが羽田空港に集合。加えて福井から10名のキッズ・ジャーナリストが参加し、宮古島で合流する予定になっています。この日羽田空港の沖縄方面出発ロビーは大混雑で、飛行機も40分遅れで飛び立ちました。
羽田ではじめて顔を合わせるみんなは、恥ずかしいのかキョロキョロするばかりで、会話もなく飛行機に乗り込みましたが、席に着いた瞬間にリラックスしたのかスタッフに注意されるほどおしゃべりを始めていました。
宮古空港に集合

宮古空港に降り立つと真夏のような暖かさに包まれました。東京ではまだお花見の時期なので体がビックリしています。ここで福井のキッズ・ジャーナリストと合流し、バスに乗り込みサトウキビ畑の中を沖縄県立宮古青少年の家へ向かいます。
途中見慣れない警察官型人形の愛称、宮古まもる君(みやこまもるくん)が空港近くの交差点に立っています。他にも宮古島にはいくつかの「まもる君」が立っているそうですが、顔は手書きのため少しずつ違いがあり、みんな兄弟という設定と教えてもらいました。
開会式

沖縄県立宮古青少年の家に到着し、班分けとリーダー決めのあと、アニマルプラネットのほっちーから3日間の説明と注意があり、さらに大塚製薬のたーちゃんとやまちゃんから水分補給の大切さのお話がありました。喉の渇きを感じる前にイオン飲料を取って下さいとのレクチャーにみんなうなずくことしきり。なんせこの暑さですからね。
テントレッスン「設営編」

いよいよテントの設営です。暑くなりそうな予感の中、早く居心地の良いテントを張りたくて、コールマンのあいさんのレクチャーをみんな真剣に聞き入っています。その後チームに別れて、役割分担を決め設営開始。ここで初めて協力する大切さを学びます。だって子供達だけでこれだけ大きなテントを張らなければならないのですから。「このポールは、どこのだっけ?」、「こっちは前?違うよこっちだよ!」と苦心しながらも少しづつテントの形になっていきます。最後にはきちんとペグを打ち終わり、中にマットをしいて完成!
コールマンさんからリュックサック・寝袋・LEDヘッドライト、大塚製薬さんからスクイーズボトルのプレゼントをもらって、設営したばかりのテントへ。
昼食

本日の昼食はソーメンチャンプルーと鶏の照り焼きとみそ汁とおにぎりです。沖縄の家庭料理ソーメンチャンプルーはその名の通り様々な具材を混ぜ合わせる(チャンプルーする)焼きそばです。沖縄名物のくるま麩のみそ汁とともにいただきます。今日は朝早くから動いているのでお腹はペコペコ、席に着くなり口いっぱいにほおばっていました。
シュノーケリング体験

水着に着替え、博愛わいわいビーチ へ。ビーチに着くと、真っ白なサンゴの砂に陽光が反射して思わず目を細めてしまいます。その白砂が海の色もエメラルドグリーンに輝かせています。海の家わーらのインストラクター・リキさんから説明を受け、ほぼみんな初めてのウエットスーツをなんとか身に付けました。それでも微妙な温かさの温水プールに入る時のように、海に入る時は「ヒヤッ!」、しばらくして慣れてしまえば寒さは感じなくなります。まず浅瀬でシュノーケリングを教えてもらい、その後それぞれのインストラクターについてカメ探索開始。ほどなくアオウミガメがいました。海藻をついばむことに夢中で我々に気づいても逃げません。すると近くにまた違うカメがいます。しばらくするとまた違うカメが。次々と現れるカメにみちびかれて、われを忘れて泳ぎ回るうちに、はじめは足のつかない海でのシュノーケリングにおっかなびっくりだった子も、のびのびと泳ぎ回れるようになったようです。この時、ガイドから「アオウミガメ」の名前を教えてもらったのにかかわらず、翌日のウォークラリーで「シュノーケリングで見つけたウミガメの種類は?」のクイズの正解が少なかったのは、よほどウミガメ探しに夢中になっていたからかな。
カメのほかにも、サンゴ礁には、ルリスズメダイ、シマハギ、ハマクマノミ、ヒメブダイ、ナガニザ、ゴマモンガラ、ナンヨウハギ、モンガラカワハギ、ボラなどがいました。
炭起こし体験
親と一緒の時はあっても、子供たちだけで炭起こしを経験したことはなかったのではないでしょうか。まして大人でも難しいのでなかなか着火しないのも当たり前です。たとえ炭が赤く燃え出しても、男子のように火の具合に合わせず力まかせに扇ぐと消えてしまうし、女子のように見守るばかりではちょうどいい火力になりません。炭の内部まで赤くなり、表面に白い灰がうっすらかぶった状態になるまでには、グループごとに時間の差がありました。
BBQ

炭がなかなか起きず肉を焼き始める時間が班ごとに違ってしまい、隣の班のいい匂いがお腹の虫を騒ぎ立てたのか、とりあえずトングを持った人は自分の分だけ焼き出してしまっています。班の全体のことを考えていないので、みんなの食欲に間に合いません。男子は焼けるのが待ちきれず大盛りご飯に焼肉のタレだけをかけて食べ始めました。
そしてお腹が落ち着くと、今度はたくさんの食材を一度に網に乗せ焼き始めますが、みんなの意見を聞いていないので余ってしまい焦がしていました。この辺から、勢いで進める男子と、考えてから行動する女子のぶつかる火種が生まれたようです。
焚火

今夜の焚き火は自己紹介とグリーンカレッジ2018沖縄・宮古島に参加した理由の発表会。沖縄に来たかった、キャンプをしてみたかった、ウミガメを見てみたかったなどさまざまでしたが、意外と親が申し込んできた子が多く、「自分自身が絶対参加したくて申し込みました」と言う積極性のある子は少なかったようです。できたら、この宮古島の大自然に何かを感じ、アウトドアが少しでも好きになってくれたら嬉しいです。最後は甘~いマシュマロを焚火で焼きました。スタッフに食べさせてくれる優しい子もいました。
就寝
焚火の時に、テントで女子トークしようと話していた子もいましたが、疲れたのか15分も経たないうちに静まり返りました。
キャンプ場には、夏を思わせる虫やカエルの鳴き声が響き渡り、時たま発せられる猫のようなクジャクの鳴き声が南の島にいることを教えてくれました。
3月28日(水)– 二日目 –
- 天気晴れ
- 気温25℃
- 風北東の風5m
起床

さすがに日本の西のはずれ、明るくなるのが東京より1時間ほど遅く、am6:00を過ぎてだんだんと空が白んできました。ジャングルの中の動物たちの鳴き声で目が覚めました。
朝食

今朝はカートンドッグ。レクチャーのあと、ウインナーを入れたパンをアルミホイルで包んでから各自持参した牛乳パックに入れて焼き上げると、魔法のようにホットドッグが完成します。それだけなのに、外はカリカリ、中はフワフワのジューシーな出来ばえ。牛乳パックが勢いよく燃え上がると、みんな大丈夫かなと心配な顔をしていましたが、アルミホイルを開けてホットドッグを見るなり、すぐにかぶりついていました。3本もおかわりした子も。ベジタブルスープとともにいただきました。
シーカヤック(パンプキン鍾乳洞へ)

保良川(ぼらがわ)ビーチでウエットスーツを着て、インストラクターのアイランドワークス・石井さんから説明を受けました。1艇に3人乗り、後ろの人は前の人のオールの動きに合わせてこいでいきます。
ところが、いざ海上に出るとうまくカヤックが進まず、右に左に、最後にはくるくる回転してしまいます。特に男子は「おーりゃー!」と力まかせにこいでしまいがちで、3人の息が合わず空回り。そんな中、3人の息を合わせたオール使いでスイスイと進むカヤックが。決して力まず、こぐと言うより水の上をすべる感覚。ここでも協力が大事なことが浮きぼりとなりました。
つらら状に垂れ下がる鍾乳石が集まる岬の下に、小さな穴が見えてきました。これがパンプキン鍾乳洞の入り口です。鍾乳洞は神聖な場所、その入口に建てられた祠。この鍾乳洞には海の神様がいらっしゃると地元では考えられており、とてもとても神聖な場所。入口の周りは氷柱が垂れ下がる岩に見えますが、全て隆起サンゴの石灰岩になっています。その隙間からは、いくつかの湧き水が細い川のように流れているのが見えます。細い水の流れが石灰岩を少しずつ削り、何万年、何十万年もの時間をかけて完成したその姿は、見ているだけで圧倒されます。

そして入口付近のエメラルドグリーンの海を泳いで鍾乳洞に入ると、目の前にハロウィンの時に飾られる巨大なカボチャのような鍾乳石が現れます。こんな形の鍾乳石は見たことがありません。また見る角度によっても微妙に形や色合いが変化します。これが1mm成長するのに1年かかるそうですが、この形になるまで何百万年もの年月を経てきたのでしょう。
このようにパンプキン鍾乳石だけでも一見の価値はありますが、ドラマはこれを登った先にもありました。ハシゴを使い3mのパンプキン鍾乳石を登った奥には、上に向かって段々畑のようなリムストーンプールが連なり、天井からは多くの鍾乳石が垂れ下がっており、どこか知らない惑星のような壮大な空間が広がっていました。アミューズメントパークで似たようなものは見たことがありますが、本物を目にすると圧倒されてしまい、感動さえおぼえました。その感情は美しい海や山を見た時と同じものです。みんなも圧倒されてかおしゃべりする人もあまりいませんでしたね。
そして帰りはパンプキンの上から3mのジャンプ!飛ぶ前の怖さと飛んだ後の気持ちよさ。この落差がまるでスポーツみたい。ここから飛び込むと、願い事がかなうと言われています。
昼食

沖縄そばの宮古島バージョン・宮古そばとラフテーとジューシーです。宮古そばは沖縄そばと比べるとあっさり薄味です。調理を手伝ってくれた地元のオバアが言うには、本当はそばの下に具を隠して盛り付けるのだそうです。具の美味しさを保つためとか、むかしの年貢の取り立てに対して「具も載せられないくらいに貧しい」という風に見せようとしたとか言われているそうです。ジューシーは祝い事や法事に欠かせない沖縄の炊き込みご飯。ワカメが炊き込まれていたのが特徴でした。これに加えてラフテーという沖縄風豚の角煮も、甘辛い味がはっきりしており、子供たちの好みでした。これがカヤックで運動したあとの空腹と重なって、みんな食べすぎていたようです。
ウォークラリー

キャンプ場裏のホシダやしめごろし植物やクワズイモが生い茂るジャングル・大野山林に生息する生き物や植物を探索しながら、ポイントポイントに隠されたクイズの正解をチームで争います。
これはみんな意外と地図を読み取れなかった。そのため現在地がわからず、行くべき方向の意見が割れてしまい、もめているうちに後続チームに追いつかれたり、一人が地図を離さず周りをいやいや引っ張って行ってたり、男子と女子の意見が分かれてしまい離れて歩いてしまっていたり。特に男子は冒険好きで進む道が正しいかどうかよりあえて困難な道を選んでいた。クイズの答えをみんなで考える時も同じだが、みんなが納得して協力しないとチームでの行動はうまくいかない。それには自分と違う意見に耳をかたむけるということが大事だと、このゲームを通じて気付いてくれたらいいな。
カレーライス作り

これまで事あるごとに意見が異なった男子と女子がチームに分かれ、カレーの美味しさを競います。さすが女子は、普段からお母さんの手伝いをしているのか料理に慣れていますね。最初にレシピをしっかりと頭に入れ、切り方や彩りなど細かいところにもこだわります。真っ赤なトマトの使い方が見事でした。せっきょく的な数人がリーダーとなり、みんなの役割を分担し、団結して調理をしていました。
いっぽう、食材の豪快な切り方や変わった味付けに力を注ぐ男子。それぞれが、これはと思ったチョコレートやコーヒーや、ブラックペッパーやウスターソースを隠し味に加えていました。これもみんなの意見が一つに集まった味と言えるのではないでしょうか。
下ごしらえが終わりいよいよカレールーを投入し始めると、スパイスの効いたいい香りが漂い始め、お腹の虫に催促されたのか量を増やすためにさらに水を足してしまい、男女とも少しスープっぽいカレーに。対決なのに同じようなカレーになるとは不思議です。「おいしい?」。スタッフの問いかけに「自分たちで作ったから美味しい!」との返事。満足するのは形ではないんですね。
焚火

最後の夜の焚き火はグリーンカレッジの思い出を発表します。初めて飛行機に乗ったこと、シュノーケリングが怖くなくなったこと、ウミガメに会えたこと、カヤックが転覆したこと、不思議な場所だった鍾乳洞、テントでおしゃべりをしたこと、みんなとワイワイ作ったカレー、たくさんの経験が心に刻まれたようでした。昨夜の焚火より質問やツッコミが多く、学校のクラスのように盛りあがりました。一昨日出会ったばかりとは思えません。ただお互い連絡先を交換したりしていると、はしゃぐ一方で明日の別れが頭に浮かびます。それさえなければ最高の夜なのにね。家族には会えるけど友達と別れなけばならない。複雑な気持ちです。
3月29日(木)– 三日目 –
- 天気晴れ
- 気温26℃
- 風東北東の風6m
起床

この日は福井チームがam7:45には出発なので早起きです。あたりはまだ真っ暗。眠い目をこすりテントの外に出ると、明けきらない夜空に天の川がまたたいていました。テントの中を整理整頓し帰る準備をします。
朝食

オープンサンドとコーンスープが朝食です。ハム、チーズ、トマトスライス、スクランブルエッグ、ツナを思い思いにパンに乗せかぶりつきました。お別れの時間は迫ってきていましたが、悲しくなるからあえて明るく振舞っているように見えました。
閉会式と福井チーム出発

ここで福井チーム10名とお別れです。昨夜まであんなに楽しかったのに、ここで初めて本当のお別れを感じたのではないでしょうか。福井チームが歩いてキャンプ場を去る時には、みんなで出来る限り追いかけました。その姿は長い付き合いの友人同士のようでした。
テントレッスン「撤収編」東京チーム

設営と同じようにレクチャーを聞きテントをたたみます。この3日間でこの朝が一番日差しが強かったのですが、おかげで湿っていたテントの底が早く乾きました。同じテントの中でも福井チームが抜けて人数が足りないところはスタッフが手伝いました。それでもなんとなくみんな元気がなかったね。
宮古空港発

大塚製薬さんやコールマンさんからプレゼントをもらい、来る時より大幅に荷物が増えています。それを大きなビニール袋に入れて一つにまとめ、JTAのカウンターに預けます。地元の友人や家族にお土産を購入し、飛行機に乗り込みました。来る時と違い、疲れたのか帰りはみんなグッスリ寝込んでいました。
羽田空港での閉会式と解散

みんなの帰りを待ちわびていたご家族。親子で対面した時には、正面から見つめあって、感情の高ぶりがお互いの表情ににじみ出て、まるで映画のワンシーンみたいでした。家族っていいですね。
みなさんはこれからいつもの生活に戻って行きますが、ジャングルのような宮古島で見たこと、聞いたこと、学んだことを忘れないでください。そして宮古島を思い出したら、キレイな水と生い茂る森林と様々な生物の関係を考えてみてください。そして外に出てみてください。またきっとアウトドアが何かを教えてくれるはずです。