鏡にうつった自分を見ながらの食事は美味しくなる…研究で明らかに

友人、恋人、家族、一人よりも誰かと共にする食事の方が同じものでも美味しい。そんな経験はないだろうか?

独居世帯が増える今日、食事の環境に関する研究が注目されている。

 

孤食はうつのリスクを増大させる

孤食は食事の満足度を低下させるだけではなく、心身に悪影響を及ぼすといわれている。

3万7千人の高齢者を対象にした、鬱病と孤食の関係性の調査によると、男女ともに孤食の場合鬱病の罹患率は高くなり、特に孤食の高齢男性においてはその割合が2倍程高いというのだ。

 

一緒に摂る食事が美味しい理由

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ではなぜ誰かと一緒の食事は、満足度が高く心身の安定化にもつながるのだろうか。

食事を共ににすることによる他者との社会的繋がりができ、安心感を得られるためだといわれていた。しかしながらこれら研究では、他者と食事と共にしたグループと孤食グループの比較であり、視覚的な要素、すなわち食べている姿をみることによる食事への影響のみを評価したものはなかった。

 

鏡にうつる自身をみると食事が美味しくなる!?

そこで、視覚的な要素のみに注目し、鏡にうつ自分自身が食の満足度に与える影響を調べた研究がなされている。

この研究では、大学生 (平均年齢 21.5歳)と高齢者 (平均年齢 68.4歳)男女混合の各16名を対象に、モニターと鏡を前にした時のポップコーンの美味しさ (美味しさ・質・また食べたい) 、摂取(摂取量・食べ応え)・味覚 (塩気・甘味・苦味)を評価しており、美味しさや摂取に関する項目は年代問わず鏡を前にしたグループが高く、味覚は変わらないとい結果が得られている。

また、同研究では食事をしている人の写真でも鏡と同様の効果が得られているというのだ。

すなわち、味は同じであっても、食べている人の姿をみることで美味しく感じ、食欲も上昇することが示唆された。

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鏡を利用したこの食事方法は、独居や医療・介護現場における高齢者の生活の生活支援への応用が期待されている。

また、生活スタイルの変化から若年層でも孤食は年々増加傾向にある。

モニターを見ながら食事が多くなりがちな今日この頃、一度画面を閉じて鏡をおいてみる。そんな時間も必要なのかもしれない。

 

池田あやか

*Discovery認定コントリビューター

科学・アート好きの薬剤師。大学では主に超分子化学を専攻。科学の面白さを伝えようと、仕事の傍見て楽しい・触って楽しい科学イベントやサイエンスライターをしている。最近のお気に入りはモルフォ蝶の羽の構造色を利用したピアス。