Credit : Hellenic Republic Ministry of Culture and Sports

古代ギリシャの長編叙事詩『オデュッセイア』が記された最古の銘板発見か

西洋文学の中で最も影響のあるものの一つとされる『オデュッセイア』。その一部が記された、最古のものとされる碑文が見つかったとギリシャ文化省が発表した。

 

『オデュッセイア』

7世紀後半から8世紀初期にホメロスによって形作られたとされる『オデュッセイア』は、その後数百年にわたり口伝された後に銘板などに記されたと考えられている。この古代ギリシャの長編叙事詩は、トロイア戦争で勝利したギリシャの英雄、イタケーの王オデュッセウスが帰還するまでの10年の壮大な冒険を描いたものだ。

7月10日にギリシャ文化省が発表したプレスリリースによれば、最近遺跡から発掘された『オデュッセイア』からの13節が記された粘土の銘板は世界最古のものであるようだ。これはギリシャのペロポネソス半島オリンピアにあるゼウスの神殿遺跡で見つかった銘板であり、第14歌から13節が記されていた。スミソニアンによればこのくだりはオデュッセウスが故郷に戻り、長年の友エウマイオスに話しかける部分だ。

 

貴重な発見

この銘板がどれくらい昔のものか正確には未だ判明していないが、ギリシャがローマ帝国支配下にあった時代のものであるとみられる。そうなるとこの銘板は2世紀か3世紀のものと考えられるのだ。

ZME Scienceによればギリシャ文化省は、もしこの年代が確定されれば、この銘板はギリシャで見つかったホメロスの作品が記された記録の中で最古のものとなり、また、これが現在考えられている時代のものでなかったとしても、考古学的、碑文学的、文学的、歴史的にも貴重な発見には間違いないとしている。

 

今も語り継がれる『オデュッセイア』

Credit: VladoubidoOo, CC BY-SA 3.0

なお『オデュッセイア』の作者であるとされるのはホメロスだが、イオニアのどこかの都市で生まれたとされるこの盲目の人物の存在は実は一人の歴史上の人物では無いとも考えられている。何十何百年の間に物語を生み出した文化的伝統がそれであったとする研究者も多いとスミソニアンはしている。

『オデュッセイア』の成り立ちはどうであれ、ジェイムズ・ジョイスの小説『ユリシーズ』を始め、ダニエル・ウォレスの小説で後に映画化された『ビッグフィッシュ – 父と息子のものがたり』、映画『オー・ブラザー!』、80年代にはアニメ『宇宙伝説ユリシーズ31』など、これをを下敷きにした作品は現代まで数多く存在する。まさに時代を超え、形を超えて語り継がれる作品と言えるだろう。

セイレーン、スキュラなどファンタジー作品などでおなじみの怪物も登場する『オデュッセイア』、まだ読んだことがないという方は、今回の碑文の作られた正確な年代の解明が解明される前に読んでみるといいかもしれない。

RELATED POST