魚は水を飲む必要なし!?意外と忘れている高校生物の話

 

魚は水を飲む必要があるのでしょうか…?

そんなことを考えたことはないでしょうか?魚は水の中に住んでいるのだから、わざわざ水分補給をする必要はなさそうですよね…?以前のペットの記事では、犬や猫などの水分補給の重要さについてお話ししましたが、果たして魚はどうなのでしょうか。

結論からお話しすると、海水魚は水を飲みますが、淡水魚は水を飲む必要がありません。同じ魚同士なのに、住む場所によって違うなんて不思議ですよね。一体どうしてなんでしょうか?

 

海水魚と淡水魚、その違いとは?

 

海水魚と淡水魚で何が違のか…。この話の前提として大切なのが高校生物で習う浸透圧の存在です。

浸透圧とは、水分濃度を一定に保とうとする「水」の性質によるもので、濃度の差を小さくしようとして濃度の低い方から濃度の高い方に水が移動して起こる現象です。

そして、人間にせよ動物にせよ、生物は基本的に体内の浸透圧を一定に保つ仕組みがあります。例えば私たち人間の場合は、

  1. 発汗などで体内の水分が失われる。
  2. 体内の塩分濃度が高まり、浸透圧が上昇する。
  3. 抗利尿ホルモン(尿の量を減らすホルモン)が分泌され、それ以上水分が体外に出ないようになる。
  4. 腎臓で水分の再吸収が行われるとともに、喉が渇いて水分をとりたくなる。

というような仕組みが存在しています。ホメオスタシスと言われるこの働き、聞いたことがあるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

では、話を魚に戻しましょう。

一般的に生き物の体の塩分濃度はおよそ0.9%。人間も淡水魚も海水魚も、体内の塩分濃度は0.9%ほどと言われています。

淡水魚の場合、生息する川や湖などに含まれる塩分は0.05%以下。つまり淡水よりも淡水魚の方が塩分濃度が濃い訳ですね。。

すると、水は濃度の高いところへ移動する性質があるので、水分が常に細胞に侵入してきます。何もしなくても体の中に勝手に水が入ってくるので、わざわざ水を飲む必要はありません。むしろ尿などで必死に水分を排出して何とか生きているんです。

一方で海水魚の場合、淡水魚とは真逆のことが起きます。海水の塩分濃度はおよそ3.5%と高く、何もしなくても常に水分が外に出て行ってしまいます。

勿論そのまま何もしないと干からびてしまうので、海水魚は水をガブガブ飲まないと生きていけません。そして飲む水はもちろん海水!体に悪いイメージもありますが、大丈夫なのでしょうか?

3.5%もの塩分を含んでいる海水を飲めば、当然体内の塩分濃度も上昇します。そこで海水魚は、尿やエラを使って効率よく塩分を排出する特別な構造を持っています。

マグロの刺身をそのまま食べても塩っぱくないですよね?海水の中で育ったはずなのに、魚が塩っぱくないのは、塩分をどんどん排出して、体内の濃度を0.9%に保っているからなんです。

ちなみにアユやサケなど、淡水でも海水でも生きられる魚は、この両方の機能を持っているため、環境に応じて器用に切り替ながら生きることができます。

 

人間が海水を飲めない訳

 

ところで、海水を飲む生き物は海水魚や海鳥、海沿いに住む牛などがいますが、人間を含めほとんどの動物は海水を飲むことが出来ません。

エド・スタフォードやベア・グリルスのサバイバルを見ても、象の糞から水分をとったり、泥水を飲むことはありますが、口を揃えて海水は絶対に飲んではいけないというのは、飲んでしまうと非常に危険だからなんです。

人も魚も同様に体内の塩分濃度はおよそ0.9%。余分な塩分は尿となって排泄されて、常にこの濃度を維持しています。もし海水を飲むと、体内の塩分濃度が急激に上がるので、濃度を一定に保とうとさらに沢山の水分が必要になるんです。

そこで尿の量を減らすなどして調整が行われますが、それでも喉が渇くのでさらに海水を尿飲むという悪循環に。さらにこれを繰り返すと臓器が正常に機能しなくなり最悪の場合死に至ります。哺乳類である私たちが海水を飲めない理由がこれです。

イルカなど、海で生活する哺乳類も基本的に海水は飲めません。ではどうしているかと言うと、魚やプランクトンなどの餌を食べることで水分補給をしているそうです。

いかがだったでしょうか?

宇宙開発でも水の有無がよく話題に上るなど、生物にとって最も重要な物質と言って差し支えない水。改めて見直してみるとまた面白い発見があるかもしれませんね。