人間は辛さを感じられない!?辛いものに関する意外な事実

なぜ、暑い夏に辛い物を食べたくなるのでしょうか?

辛いカレー、あるいはチゲ鍋のように熱い食べ物を暑い夏に食べたくなるのは非合理に見えますが、実はこれにはしっかりとした理由があるのです。

その理由は、唐辛子をはじめとする辛味系スパイスの「発汗作用」が関係していると言われています。人間の体には、常に体温を一定にするメカニズムが備わっており、暑いときには汗をかくことで、皮膚の熱が放散され、体温の上がりすぎを防いでいるのです。

今回はそんな辛いものに関する雑学を紹介します。

 

「辛い」という味は存在しない

 

人間の味覚は、甘味・塩味・酸味・苦味・うま味の“基本五味”と呼ばれる5つで構成されています。実は、辛味は痛みなどと同じような刺激として、痛覚や温度覚で感じ取る味なので、基本味とは別に分類されています。

つまり、辛味は厳密に言うと味ではなく、感覚なのです。

余談ですが、一口に辛さと言っても、その辛味成分には、大きく分けて2つあるのをご存知でしょうか?

一つは「ホット」と表現し、トウガラシのように口の中で熱く感じさせるタイプ。トウガラシをはじめ、コショウやショウガ、サンショウなどがこのタイプです。

もう一つは「シャープ」と表現されるワサビやカラシのように、清涼感をともない、鼻の奥でツーンと刺激するタイプです。ワサビやカラシ、ニンニク・ネギ・ダイコンなどが、これに分類されます。

 

人間が辛い物が好きなわけ

 

そんな辛い物も得意な人と苦手な人がいます。さて、同じ人間なのに、辛さに対する耐性がそれほどまでに異なるのはなぜでしょうか。

「嫌悪感」に関する研究を行う心理学者のポール・ロジン氏によると、自然の中で辛味を好む動物は確認されておらず、ラットを使った実験でもスパイスの入った食べ物は避けられることが判明しています。

しかし、ロジン氏がラットに少量ずつスパイスを混ぜた食べ物を摂取させ続けたところ、しばらくするとラットはスパイス入りの食べ物を選び始めたというのです。このように、辛い食べ物を食べ続けることで、辛味に対する耐性は変化していく事が科学的に検証されています。

さらに、ロジン氏は「人間はより大きな報酬を得るために、慣例的な痛みに耐えることができる」と話します。お酒を飲んで楽しい気分になった翌日は二日酔いに悩まされる人もいれば、違法ドラッグで生命を危険にさらしてまで酩酊状態を求める人も存在します。

ロジン氏によると「激辛フードへの愛」はこれらの2つの要素が合わさったようなもので、危険のない痛みを求めて、無事食べ終えたことを楽しんでいる状態だそうです。

ロジン氏は「それはジェットコースターのようなもので、トウガラシを食べることはマゾヒズムの新しい形なのかもしれません」と結論づけています。

 

世界最強の唐辛子、その実力とは

 

ちなみに、2019年現在、「世界でもっとも辛い唐辛子」としてギネスに登録されているのは、「ドラゴンズ・ブレス・チリ」という品種です。

この唐辛子は、イギリスのウェールズに住むマイク・スミスさんという方が偶然にも開発してしまったモノで、とても小さな唐辛子ですが、「人を殺すほど辛い最強唐辛子」と言われています。

唐辛子の辛さを測るスコヴィル値を基準に説明しましょう。一般的にパスタやピザに使用しているタバスコが1000スコヴィル程度です。ところがこの唐辛子のスコヴィル値はなんと248万スコヴィルです!ちょっと値が飛躍しすぎてよく分かりませんね…。

そして、このドラゴンズ・ブレス・チリはカプサイシンによるいわゆる”食べられる辛いモノ”でしたが、辛味成分というのは、なにもカプサイシンに限られたものではありません。

ハッカクキリンと呼ばれるサボテンの乳液から抽出できるレシニフェラトキシンは自然界に存在するものの中で最も辛く、その天文学的なスコヴィル値は、160億スコヴィルとなってます。

そのため、なんと味見程度に舐めるだけでも致死量に達してしまうようです。ディスカバリーチャンネルで過去に公開した動画で、ベア・グリルスが絶対に飲んではいけない!と忠告していたのはこういう理由があったんですね。

 

辛い物は体に良い?悪い?

 

では、実のところ、辛い物は体にどのような影響を及ぼすのでしょうか?

最近では激辛グルメが人気を集めており、唐辛子などに含まれている“カプサイシン”という成分が代謝力を上げて脂肪を燃やしてくれることから、ダイエットや健康のため積極的に辛いものを食べようとする方もいるかもしれません。

実際、辛い物を食べると消化器の粘膜を刺激することによる食欲増進や発汗による新陳代謝の活性化など、私たちの体の助けとなる事もあります。

しかし過剰摂取による悪影響にも注意が必要です。

そこで、辛い物の食べ過ぎが体に良くないということは理解している人も多いと思いますが、どこまで辛い物を食べると「食べ過ぎ」になるのか解説していきましょう。

実は、日本ではカプサイシンの摂取量について明確な基準は設けられていません。しかしドイツでは、カプサイシンの摂取量について調査をおこない、基準を設けていますす。

食事における、大人の1回あたりの総カプサイシンの摂取量は体重1キロあたり最大5mg。体重60kgの大人だと300mgという計算になります。一般的なキムチ用唐辛子に換算すると、一本あたり0.06〜0.07mgのカプサイシンが含まれているので4000〜5000本分になります。さすがに、そこまで食べることはないと思いますが、やはり注意は必要ですね。

辛い物の食べ過ぎは胃腸だけでなく舌の表面の細胞を破壊し、味覚障害につながる恐れも懸念されています。自分の体と相談しながら辛料と上手につきあって元気に涼しく夏を乗り切りましょう。