毒ヘビに噛まれときにやるべきこと、やってはいけないこと…傷口から毒を吸い出す行為は効果なし?

時に、その毒によって人を死に至らしめる「毒ヘビ」。さまざまな種類の毒ヘビが世界中に分布しており、日本にもハブやマムシといった毒を持った種類が存在する。

もし、あなたがそんな毒ヘビに噛まれてしまったとき、正しい対処の方法を知らなければ命に関わる重大な事態となってしまうだろう。本稿では、毒ヘビに噛まれた際の対処として、やるべきこと、やってはいけないことを紹介しよう。

 

毒ヘビの毒

ヘビは、一般的には人間を避け生活しているが、脅かしてしまうと噛まれてしまうことがある。WHO(世界保健機構)によると、毒ヘビの持つ毒素が体組織に入ると、多臓器不全や過度な出血、重度の細胞組織の破壊、呼吸ができなくなるほどの麻痺を引き起こす可能があるとしている。

米オハイオ州立大学ウェクスナー医療センターの救急医療部門教授、ニコラス・クマンがLiveScienceに語ったところによると、ガラガラヘビなどに噛まれると咬傷部分の晴れや痛みは数分以内に発症するが、他の毒ヘビだと症状が現れるまで時間がかかる場合もあるという。

また、毒ヘビの咬傷の25パーセントは、「ドライバイト」と呼ばれる毒が出てない状態の場合もある。その状態では毒による症状は起こらないが、噛まれた際にドライバイトだったを判断するのは非常に難しく、症状を確認してから治療をするべきではないとクマンは語る。

 

毒ヘビに噛まれたときにやるべきこと、やってはいけないこと

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もし毒ヘビに噛まれたら、救急車などの到着を待つまで傷口を清潔にし、噛まれた場所を心臓より低い位置で固定して、毒の周りを遅くする必要がある。スマートウォッチなどのフィットネストラッカーを持っていたら、その機能を使って患者の心拍数をモニターすることも可能だ。また、噛まれた後に安静にしておくことは、毒の拡散を遅らせることになるとCDC(疾病管理予防センター)は説明している。

地域によってヘビの毒性が全く異なるため、どこでどのヘビに噛まれたかという情報は重要となる。例えば、北米に生息するほとんどの毒ヘビの毒は、過度の出血を引き起こし、筋肉や細胞組織の壊死を引き起こす。そのため、治療法によっては症状を悪化させてしまうこともある。だが、北米の毒ヘビの毒のほとんどは、抗毒素の「CroFab」や「Abavip」を用いることで治療が可能だ。

アジア、アフリカ、オーストラリアの毒ヘビの毒は、呼吸麻痺を引き起こす神経毒を持っている場合が多い。このような種に噛まれた場合は、バンドなどで咬傷を締め付けて毒の周りを遅くし、効果がある抗毒素を用いて治療を行う。だが、サンゴヘビと呼ばれる種類のヘビの毒は特殊なものとなっており、専用の抗毒素が必要となる。

一方で、テレビドラマや映画であるように、噛まれた傷口に口をつけて毒を吸い出そうとする行為や、噛まれた部位を切断するなどしてはならない。毒ヘビに噛まれることによって体内に毒が入った場合、その毒は即座に体の組織中に広がるため、吸い出して体内から除去することは不可能である。切断するなどの行為も広がった毒の抽出には役に立たず、むしろ出血多量を引き起こすような重傷を負わせてしまうだけとなる。

 

治療の際、どのヘビに噛まれたかを把握するのは非常に重要なポイントだとクマンは語る。自分が住んでいる地域や、これから行く地域に分布している毒ヘビの種類を、まず把握しておくことが最も大事なのである。