きのこが動物を食べる!?みんなが知らない菌類たちの秘密

梅雨になり、湿度が高くなると部屋や水回りにカビが繁殖しているのをよく見かけますよね。掃除しても掃除してもわいてくる…そんな見るのも嫌なカビですが、意外とその正体を知らない方も多いのではないでしょうか。今回はそんなカビたちの豆知識を紹介します。

●そもそもカビって何モノ?
実はカビはキノコなどと同じ菌類の一種です。菌類と聞くと細菌と同じようなものと思ってしまうかもしれませんが、細胞分裂を繰り返して数を増やす単細胞生物の細菌と違い、菌類は雄雌の区別のあるものもいる多細胞生物なのです。

水回りに発生するカビももちろん生き物で、私たちと同じタンパク質でできています。このカビたちは50度以上の熱湯でタンパク質が変性して死んでしまうため、掃除する際にはぜひ参考にしてみてください。コツは1分ほどお湯をかけ続けること、パッとかけただけでは効果は薄いためです。

●暮らしに役立つ菌たちも

そんな嫌なイメージが付きまといがちなカビですが、私たちのそんなカビたちの仲間には私たちの暮らしに大きく役立ってくれているものもいます。

例えば、チーズやヨーグルトなどの製造に使われる乳酸菌が有名でしょうか。乳酸菌は牛乳やブドウ糖や乳糖など糖類(炭水化物)を分解して乳酸を作り出す細菌の総称です。乳酸はその名前通り酸性なため、食品に程よい酸味を与えると同時に、他の雑菌の繁殖を抑え、保存性を高めます。また、乳酸発酵を経ることで牛乳が消化しやすいかたちに変わります。牛乳を飲んだらお腹を壊してしまう…という人でもヨーグルトやチーズなら大丈夫というのはこういう訳です。

他にもお酒やパンを作る際に使われる酵母菌は有名ですよね。このように私たちの暮らしにも菌たちは役立ってくれているのです。

●生き物のを滅ぼす…恐るべき菌たち

逆に生き物を滅ぼしかねない危険なものも存在します。

まずは私たちもよく知っているヒラタケの仲間から。実は彼らの仲間には線虫という細長い芋虫のような生き物を捕食する種類があることが判明しています。

『Canadian Journal of Botany』に掲載された論文ではその恐ろしい捕食方法が明らかにされました。まず、そのヒラタケの仲間は少量の毒液を生産し周囲に散布し、その毒液に触れた線虫は通常数分以内に動きが取れなくなります。しかし、線虫はすぐには殺されず、体内に寄生し、宿主をじっくりと消化するのです。

また、すべての両生類を絶滅に追い込みかねない危険なカビも存在します。その名はカエルツボカビ。1997年から1999年にスペインにおいてカエルの大量死が発生した際はこのカエルツボカビの大規模な感染が原因とされました。実にこの地域の8割以上のカエルたちが死亡させたというこのカビが生物を攻撃する手段は「窒息」です。

カエルツボカビに感染した両生類は皮膚を侵されるので、カエルにとって重要な体内の浸透圧の調整や皮膚呼吸が妨げられると考えられています。その結果、元気や食欲がなくなり、縮こまった姿勢をとったり、口を開けたりし、発症から数週間で死に至るといいます。

このカビは水を介して他の両生類に感染し、南北アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリア、ニュージーランドで侵入が確認されています。もし、日本にこのカビが侵入すれば、カエルをはじめとする在来の両生類に影響を及ぼすおそれがあるとされています。ちなみに、人間には感染しませんのでご安心を。

最後はちょっと怖がらせる内容になってしまいましたが、カビとの付き合い方を選べるのは私たち人間です。これからもうまく付き合えるようにしていきたいものです。