街をきれいにするカラス!その驚きの手法とは

 

突然だが、皆さんはイソップ童話の「カラスと水差し」をご存知だろうか。

あるとき、長旅で喉が渇いていたカラスは一つの水差しを見つける。しかし、くちばしが水に届かないため飲むことができない。試行錯誤の末、カラスは石を水差しの中へ落とし、水かさを増すことで飲むことに成功するという話だ。

この物語は「諦めずに工夫して頑張れば報われる」といった訓話として知られているが、ロンドン大学クイーンメアリー校のネイザン・エメリー博士(Dr.Nathan Emery)は「イソップ童話はおそらく事実に基づいて書かれている」という。

同教授の説を証明するべく、ケンブリッジ大学との共同チームによって実験が行われた。実験では少量の水が入った細長い容器に餌を浮かべ、横に小石の山を置いてカラスの行動を観察した。するとカラスはすぐに小石を水に投げ入れたのだ。

さらに大小様々な大きさの小石を用意し同様の実験をしたところ、カラスは総じて大きくて重い小石を選び水に落としたという。大きい石の方が早く水位を上げることすら理解しているというのだから驚きだ。

また、私たちがイソップ物語を伝え聞いているように、カラスには経験から得た知識を仲間に伝える能力があることがアメリカ・ワシントン大学の研究で判明した。

実験では原始人のゴムマスクを被った人がカラスを捕まえ、恐怖心を与えた後に放す。すると以後、原始人のマスクを被って歩くと、カラスたちは甲高く泣き叫び、羽をばたつかせる「スコールディング」と呼ばれる警戒反応を示した。ちなみに、全く無関係のディック・チェイニー、アメリカ元副大統領のマスクを被って歩いたところ、カラスたちは無反応だったという。

その後も実験を続けると、時間が経つごとに警戒反応をするカラスは増えていき、現場から1.2キロも離れた無関係のカラスまでもが反応し始めるまでになった。

学術専門誌「Proceedings of the Royal Society」に発表されたこの論文で、カラスには「自分が直接体験したこと」「親から子への縦の情報伝達」「他のカラスたちとの横の情報交換」の3つを扱う能力があることがわかった。「原始人みたいな顔つきの人間には近寄らない方が良いよ…」というような話がカラスたちの間で出回っていたと思うと面白い。

そして最近では、カラスの頭の良さを活用した取り組みも進んでいる。

中世の歴史を題材にしたフランスのテーマパーク「ピュイ・デュ・フー(Puy du Fou)」では2018年からゴミの清掃員としてカラスが採用され、話題になっている。

仕組みは単純で、ゴミを拾って専用のゴミ箱に運ぶと、そこにある小箱からご褒美の餌が出てくるというもの。この仕組みを理解したカラスは積極的にゴミ拾いをしているという。

ちなみに社長のニコラ・デ・ヴィリエさんは「カラスにできることなら、私たちにもできるはず。私たちもゴミが落ちていたら、拾ってゴミ箱に捨てようと考えて欲しいのです」と語っている。

日本ではごみを散らかしたりして嫌われ者のカラスだが、彼らとの付き合い方次第ではうまく共存できるかもしれない。