ゾウは意外と速く走る…大きくて賢い、人に近い頭脳を持つ生き物の秘密

大きくて賢い、その雄大な姿が世界中で人気の「ゾウ」。

ゾウは長い間、人の近くにいる生き物でもある。アジアの一部地域では、生活に欠かせないパートナーとして今も人と一緒に生活している。

本稿では、ゾウの意外と知られていない生態や高い知能など、なぜ人がゾウに惹かれるのか、その魅力を紹介しよう。

 

目次

  • 世界に3種類しかいないゾウ
  • ゾウは意外と速く走る
  • ゾウはとっても強い
  • ゾウは意外と長く泳げる
  • ゾウはとっても頭がいい

 

世界に3種類しかいないゾウ

陸上の哺乳類としては最大の大きさを誇るゾウ。世界では、最も大きな体の「アフリカゾウ」と頭にコブを持つ「アジアゾウ」の2属、アフリカゾウ属とされている比較的小型の「マルミミゾウ」の3種だけが生息している。約2万年前までは日本にも「ナウマンゾウ」というゾウが存在していたが、アジアから日本列島に渡ってきた人類に狩猟されるなどして絶滅している。

草食動物であるため主に植物や果物などを食べるが、その巨体のために1日の食事量は150kg必要となることも。また、オスのゾウはムスト期と呼ばれる発情期になると、男性ホルモンが数十倍にもなり、こめかみ付近からテンポリンと呼ばれる有機化合物の液体を出す。この時期のオスのゾウは非常に危険で、攻撃的な性格となってしまうのである。

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その優美な姿が神聖化される一方で、屈強な力を求めたペルシア帝国最後の王となったダレイオス3世は、紀元前331年に行われたアレクサンドロス3世の軍隊との「ガウガメラの戦い」において、「戦象」と呼ばれるゾウを戦場に投入したことが記録に残っている。これ以降も、「戦象」はマケドニア王ピュロスがローマ軍との戦いで用いたり、殷代の中国などでも投入されたという。

 

ゾウは意外と速く走る

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その巨体に似合わず、アフリカゾウは時速約40キロの速度で走ることができる。これはオリンピック短距離走選手の平均スピードである時速35.4キロよりも速い。生身の人間が平原でゾウに全力で追われることになったら、どうやっても逃げ切ることはできないだろう。アフリカゾウよりもやや小柄なアジアゾウは、時速25キロほどで走るとされる。

ゾウは体の構造の関係から、馬のようにステップを踏むような走りかたをすることはできない。どちらかというと歩く動きに近いため、時速40キロの早歩きと考えてもいいだろう。

 

ゾウはとっても強い

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ゾウの力は強い。最大で8トンほどの巨体を持つアフリカゾウは、バッファローやサイですら歯が立たないのだ。百獣の王ライオンですら恐れており、狙うのはもっぱら群れからはぐれた子供のゾウである。しかし、親のゾウが駆けつけると尻尾を巻いて逃げていってしまう。

乗用車であれば鼻と顔を使って持ち上げることもできるパワーを持つ。少なくとも、人間が生身で立ち向かって敵う相手ではない。

 

ゾウは意外と長く泳げる

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水が大好きなゾウたちは水泳も得意だ。最大の特徴である長い鼻を使えば、シュノーケルのように水中でも呼吸ができる状態を維持できる。最新の研究では、泳ぐことが得意な理由として、ゾウの遠い祖先がジュゴンのような海洋生物だったためではないかと考えられているようだ。

食料と水を求めて1日に120キロ以上歩ける体力と筋力を持っているため、水中でも長時間泳ぐことが可能だ。実際、48キロの距離を6時間かけて泳いで渡った記録が残っている。スリランカに生息しているゾウは、インド南部から海を越えてきたのではないかと考える専門家もいるほどだ。

泳ぐ速度はおよそ時速2.1。こちらは人間の方が速いようだ。

 

ゾウはとっても頭がいい

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ゾウは地球上で最も賢い生き物の1つとされている。古代ギリシアの哲学者アリストテレスに「この獣は他のものたちの知性と理解力を超えている(The beast which passeth all others in wit and mind)」と言わしめたほどだ。

ゾウは喜びや悲しみなどさまざまな感情を持っているとされる。事実、ゾウの脳は5キロを超える大きさであり、人間やイルカと同じように非常に複雑な構造をもっているのである。人と同じように学習し、状況に合わせて臨機応変な対応もできるのだ。

そして、ゾウは人のように仲間の死を悼む生き物でもある。死亡したゾウに仲間が順番に鼻をつけていくといった、葬儀のような儀式を行うのだ。

姿は全く違えど、実は、ゾウは人に近い生き物なのである。