小惑星探査機「はやぶさ」の軌跡と、世界が注目する「はやぶさ2」のこれから

小惑星「イトカワ」の微粒子サンプルを持ち帰るという探大きな功績を残した小惑星探査機「はやぶさ」。現在は後継機となる「はやぶさ2」が小惑星リュウグウを探査中だ。

本項では、世界の注目を集めた「はやぶさ」はどのように生まれ、「はやぶさ2」が今後どのような活躍をしていくのか紹介しよう。

 

小惑星探査機「はやぶさ」とは

Credit: JAXA

「はやぶさ(MUSES-C)」は、太陽系の地球に接近する軌道上にある小惑星「イトカワ」を探査し、サンプルを持ち帰るための小惑星探査機だ。

名前の由来については、サンプルを回収して地球に戻るさまが、鳥のハヤブサが獲物を捕獲して飛んでいくようなイメージであることや、「イトカワ」の名称の由来となった糸川英夫が戦闘機「隼」の設計に携わっていたことにあやかっているなどと言われている。

本体は1mx1.6mx1.1mと意外にも小さく、燃料をプラズマ化し、プラスとマイナスのイオンのうちプラスのものを使って加速するエンジン「イオンエンジン」の搭載、地球の重力と公転を利用したスウィングバイによる加速移動を行うことが特徴と言える。また、小惑星の地表をホップして移動できる自立型探査ローバー「MINERVA」も搭載されていた。

NASAをはじめ、世界中の天文台が太陽系の起源を探査・研究しているが、「はやぶさ」によって回収されたサンプルも太陽系の起源を知るための手がかりとして非常に重要なものとなっている。本物の小惑星からのサンプルは、観測だけでは知り得ない膨大なデータを得ることができるのである。

Credit: 池下章裕/MEF/JAXA・ISAS

後継機となる「はやぶさ2」は、「はやぶさ」の次世代機とも呼べるバージョンアップ機だ。前回のトラブルから多くを学び、改良されたイオンエンジン、通信系の高速化、ドイツ・フランス製の小型ランダの搭載など、数多くの最新技術が投入された。そのため、「はやぶさ」から大きさに変わりはほとんどないものの、重量は100kg近く増えている。

Credit: JAXA

また、小型ローバー「MINERVA」の後継機「MINERVA-II」を3台搭載。小惑星の地表をホップして移動する機能はそのままに、多くの機能を改良・追加している。

「はやぶさ」と「はやぶさ2」は、世界中から最先端の技術が集められて開発されているが、重要な部品が日本の下町工場などで作られていることでも話題となった。

 

「はやぶさ」が探査した小惑星

「はやぶさ」に繋がる研究は、1980年代より始まったとされる。そして1996年になってMUSES-C(はやぶさ)計画が本格的にスタートし、2003年5月9日にJAXAの内之浦宇宙観測所よりM-Vロケットで宇宙へと打ち上げられたのである。

Credit: JAXA

探査対象となった小惑星イトカワは、岩石質と推定されるS型小惑星だ。「はやぶさ」は姿勢制御装置の故障などトラブルに見舞われつつも、地球から約20億kmの旅の後、2005年9月12日、イトカワへと到達した。だが、到達後にも数回にわたる燃料漏れなどが発生し、幾度となく通信が途絶えた。

そして「はやぶさ」は無事にサンプルを地球帰還カプセルへと採取し、地球への帰路につくことに成功する。

Credit: JAXA

2010年6月13日、「はやぶさ」は地球の大気圏で燃え尽きなりながらも、地球帰還カプセルを無事にオーストラリア南部の砂漠へと届けたのである。

今回の「はやぶさ」の探査によって、全長540mほどあるイトカワが、多様な地形を持っている小惑星であることが判明した。また、持ち帰ったイトカワの微粒子から、40億年前に40倍ほどの天体がバラバラになり、その破片が集まって構成されている可能性が高いことがわかった。

 

「はやぶさ2」が探査する小惑星

Credit: JAXA

現在活躍中の「はやぶさ2」のミッションも、太陽系の起源を探るために小惑星からサンプルを採取し、地球へと持ち帰ることである。

「はやぶさ2」が目指したのは、地球から約3億km離れた場所にある小惑星「リュウグウ」。イトカワのようなS型小惑星ではなく、C型と呼ばれる別の種類の小惑星だ。1999年5月に米国の研究チームが発見したリュウグウは、表面の岩石に有機物などが含まれると推測される。このC型小惑星は、S型小惑星よりも太陽系初期の情報が多く保たれている可能性があるのだ。

2014年12月3日に打ち上げられた「はやぶさ2」は、2018年6月27日にリュウグウへと到達した。「はやぶさ2」から送られてくるデータによって、全長約900mほどの大きさのリュウグウはコマ(独楽)形をしていること、少ないながらも水が存在していること、イトカワと同じく母天体の破片が再集積してできた「ラブルパイル天体」である可能性が高いことなどが判明した。

 

これからの「はやぶさ2」

Credit: JAXA

2月22日にリュウグウへのタッチダウンに成功した「はやぶさ2」は、4月5日に人工クレーターを作るために金属の塊を打ち込む作業を行う。これによってリュウグウ内部の岩石を露出させ、小惑星内部のサンプルを採取する計画だ。

今後は小型ローバーによる探索も行いながら、2019年の11月~12月にリュウグウを離れ、地球への帰路につく予定となっている。

全世界が注目した「はやぶさ」の功績、そして全世界に注目されている「はやぶさ2」の活躍。無事にサンプルを持ち帰り、どんな宇宙の謎が解明できるのか、その動きに目が離せない。