日本でひとつの時代に幕が降りようとしている。
5月1日に元号が「平成」から改元されるまであと3ヵ月弱。巷では平成の終わりを惜しむように記念グッズやイベントが人気を集めているそうだ。
一方で新しい時代を象徴する元号についても関心が高まっている。ソニー生命保険が今年3月に行ったアンケート調査によれば、新元号候補として人気が高かったのは「平和」、「和平」、「安久」などだそうだ。インターネット上でも新元号予想は盛り上がりを見せており、ランキングを作ったり、アルゴリズムを使って漢字の組み合わせを算出するなどユニークな試みも見られる。
結果は4月1日の正式発表まで待つしかないが、その前に元号についての理解を深めてみよう。
目次
- 元号の由来
- 和暦と西暦とのズレ
- 改元でなにが変わるのか
元号の由来
元号は日本だけで使われている紀年法で、西暦645年に制定された「大化」に始まり現代に至る。「和暦」、または「邦歴」とも呼ばれる。
西暦が理論上では無限に続いていくのに対して、元号は新しい天皇の即位によってリセットされ、名称も改められる有限のシステムだ。その由来は天下を取った君主が空間だけでなく時間までも支配しているという思想に基づくのだとか。
和暦と西暦とのズレ

元号は基本的に西暦と同じく年(=365日)を単位とするが、天皇の即位に際して新しい元号にリセットされるためにどうしても西暦とのズレが生じる。加えて改元は一年の途中でも行われるため、わずか数日で年を越してしまう場合もある。
例えば大正15年は1926年12月25日に終わり、同日に昭和元年が始まった。ところが年の瀬の改元だったため、わずか7日後に元旦を迎えて昭和2年が始まってしまったのだ。
こうなると行政処理上たいへんややこしいことになってくる。仮に1926年12月24日生まれの人と、1926年1月26日生まれの人がいたとしたら、誕生日がたったの2日しか離れていないのにも関わらず改元のあちら側とこちら側に隔てられてしまう。同じ学年に大正15年生まれ、昭和元年生まれ、さらには昭和2年生まれの人が混在していることにもなる。
同様に、昭和64年が1989年1月7日に終わり、1月8日から平成元年が始まったのはより身近な例だ。
改元でなにが変わるのか

政府は4月1日に新元号を発表する。その一カ月後には新元号が始まるのだが、何が変わるのだろうか?
まずは出生届など役所に提出する書類の元号表記が変わる。運転免許証の有効期限がわかりにくくなるため、3月末からは西暦を併記した免許証に変わる予定だそうだ(毎日新聞による)。納税などの電子申請は新旧どちらの元号でも行えるようにされるという。
懸念されるコンピューターのOSを含むソフトの改修は、万が一滞ると企業の決算発表などに影響を及ぼす可能性が指摘されている。なるべくスムーズに移行できるといいのだが。
山田 ちとら
*Discovery認定コントリビューター