月裏探査にサンプルリターン…中国の月面探査計画の思惑

2019年1月3日、中国の月探査機「嫦娥(じょうが)4号」が、月の裏面に降り立った。

世界初となるこのミッションは、さらなる中国による宇宙開発の道標となるはずだ。

ここでは、中国による月の探査計画の最先端に迫ってみよう。

 

世界3番目の月探査に成功

Image Credit: CNSA

冷戦時代に月面探査をリードしていたのは、アメリカと旧ソ連だ。まず旧ソ連が1966年に世界で初めて、探査機「ルナ9号」による月面軟着陸に成功。一方アメリカも、同年に「サーベイヤー1号」を月へと送り込んでいる。

そしてアメリカや旧ソ連から50年近く遅れたが、中国は2013年に着陸機「嫦娥3号」と探査車「玉兎号(ぎょくとごう)」を月面へと着陸させた。玉兎号は月面を走行し、画像撮影などさまざまな活動を実施した。

中国の月探査計画は、それぞれのミッションをまとめて「嫦娥計画」と名付けられている。これまでにも月を周回する探査機「嫦娥1号」「嫦娥2号」が2007年と2010年に打ち上げられ、探査ミッションを成功させている。

 

2段構えの探査ミッション

Image Credit: CNSA

そして今回成功した嫦娥4号のミッションでは、まず先行して中継衛星「鵲橋(じゃっきょう)」が2018年に打ち上げられた。

そもそも月裏探査の難しさは、月が常に片方の面を地球へと向けていることにある。これは、潮汐力により月の自転と公転が同期していることに由来し、月裏の探査機と地球との通信を妨げることになる。

そこで鵲橋は、嫦娥4号や搭載されていた探査車「玉兔2号」により観測された写真やデータを、地球へと中継送信する役割を担当する。嫦娥4号や玉兔2号による観測データは、月裏面の地質学な性質を知る上で貴重なものとなるはずだ。

 

サンプルリターン目指す、中国の思惑

Image Credit: CASC

さらに、中国は月からサンプル(試料)を持ち帰るサンプルリターン計画として、「嫦娥5号」「嫦娥6号」を準備している。それにしても、なぜ中国ここまで宇宙開発に力を入れているのだろうか。

実は現在、月や小惑星からの資源採掘が、ビジネス的に大いに注目を集めている。また月や火星の氷は、飲料用だけでなく燃料として活用することも模索されているのだ。

かつてはアメリカとソ連により主導されてきた宇宙開発だが、今はアメリカと中国が技術を競っている。そんな中で中国が月からのサンプルリターンに成功すれば、大きなイニシアチブを示すことなることだろう。また、アメリカもそれにつられて宇宙開発に力を入れるという、好循環も期待される。

独自の技術開発により、着実に月探査の道を歩む中国。その宇宙大国への道のりは、もはやとどまるところを知らない。

塚本直樹

*Discovery認定コントリビューター

IT・宇宙・ドローンジャーナリスト/翻訳ライター。フリーランスとしてドイツを中心にヨーロッパにて活動しつつ、日本でのラジオ出演やテレビ、雑誌での解説も。 @tsukamoto_naoki