元日の平穏をうちくだいた恐怖の雄叫び…!警察沙汰になった「クモ恐怖症事件」

2019年1月1日に事件は起こった。

「おまえなんて死ね!!…」西オーストラリア州の州都・パースのとある住宅街にくり返し響きわたった男性の怒号は、泣きわめく子どもの声と重なっていた。あまりの物騒さに通りがかりの人が通報し、警察が出動する事態に。だれもが忌まわしい事件に遭遇したと身構えていたのだが、後になって意外な事実が判明した。

男性は一匹のクモに向かって叫んでいたのだった。ついでに言えば、男性とその子どもが二人して家の中に侵入してきたクモに向かって必死に叫んでいたのだ。

Credit: ROverhate / Pixabay

BBCによれば男性は極度のクモ恐怖症を患っていた。オーストラリアには約2,900種のクモが生息しており、セアカゴケグモやジョウゴグモなど猛毒をもつ種類も含まれるそうだ。しかし1981年以降はクモによる死亡例は報告されておらず、ほとんどのクモは無害だ。

はたして男性を恐怖のどん底におとしいれたのは一体どんな種類のクモだったのか。男性の決死の攻撃によってすでに成仏しているため今では知る由もない。

Credit: werner22brigitte / Pixabay

 

アラクノフォビア

クモはたしかにちょっと気味の悪い姿をしているかもしれない。足だってたくさんあるし、目も異様に大きくてたくさんある。

大半のクモは無毒・無害なばかりか、害虫を食べてくれる有益な働きをしている(詳しくはこちらの記事もどうぞ)。にもかかわらず、世界人口のうちおよそ1~5%は「アラクノフォビア」とも呼ばれるクモ恐怖症を患っているとLive Scienceは報じている。

アラクノフォビアは早ければ生後6ヶ月で症状が顕われる。またアラクノフォビアに苦しむ人々にとって、クモは実際よりもはるかに大きく見えてしまうそうだ。

クモ恐怖症の人はクモが恐いあまりに平常心を保つことができなくなり、しばしば事故に巻き込まれてしまう。昨年は米カリフォルニア州で男性がクモを退治しようとたいまつを自宅で振り回していたところ、クモどころか家が焼け落ちてしまった。同州では山火事の被害が甚大だっただけにまったく笑えない。

またオレゴン州在住のある女性は、自動車を運転中にクモがバックミラーから手に飛び移ってきたため運転不能になり、車が道を大きく外れて事故に至ったそうだ。幸い軽傷で済んだそうだが、クモはそんなに幸運ではなかっただろう。

Credit: ulleo / Pixabay

 

山田 ちとら

*Discovery認定コントリビューター

日英バイリンガルライター。主に自然科学系の記事を執筆するかたわら、幅広いテーマの取材やインタビューにも挑戦中。根っからの植物好き。クモよりGが恐ろしい……。 https://chitrayamada.com/