映画の画面はどうして横に長いのか

誰もが足を運んだことがある映画館。そこでは、泣いたり、笑ったり、感動したり、驚いたりする映画作品の新作が、毎週のように上映されている。

劇場で映し出されているのは横に長い映像だ。今では当たり前のものとして疑問も持たずに観られているが、なぜこのような横長の仕様になったのか知っているだろうか。

 

4:3の画面比率だった最初の映画

1891年、アメリカ発明家のトーマス・エジソンとその下で働くウィリアム・K・L・ディクソンにより、目の前の風景を映像として記録するシネトグラフと覗き込み型の上映機器キネトスコープが発明され、映像をフィルムに記録する「映画」が生み出された。この時の画面のサイズが正方形より少し横に長い4:3(1.33:1)のスタンダードサイズと呼ばれる画面比率であった。このサイズは初期の商業映画のスタンダードとなり、アナログテレビの画面比率としても採用されることとなる。

余談だが、この時のキネトスコープから着想を得て、映画を撮影しスクリーンに上映できる複合映写機「シネマトグラフ」を発明、商業化したのが、後にエジソンと並んで「映画の父」と呼ばれるようになったフランスのオーギュスト・リュミエールとルイ・リュミエールの兄弟である。

 

テレビの登場と映画の画面比率の変化

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テレビジョンの開発自体は、映画が生まれる前の1873年からイギリスでスタートしていた。短くない実験・試験放送の期間を経て、1941年にアメリカでモノクロのテレビ放送がスタートする。

1952年9月、米ニューヨークのブロードウェイ劇場で、スタンダードサイズの映写機3台を使うワイド上映方式「シネラマ」による映画の上映が行われていた。その横に長い上映方式は、批評家などから驚きの声とともに大絶賛された。シネラマの画面比率は2.88:1と、現在のハリウッドでスタンダードとなっている2.35:1/ 2.39:1よりも横に広いものだった。

1950年代、アメリカの一般家庭にテレビが浸透したことにより映画の人気が低迷していった。その打開策として、4:3の画面比率のテレビとの差別化と映画館でしか体験できない映像体験として、当時の観客に強いインパクトを与えたシネラマのような、横に広い画面比率の映画が増えていくこととなった。

 

映画のワイド化からテレビもワイド化へ

現在のデジタルテレビのスタンダートとなっている16:9の画面比率は、プリンストン大のカーンズ・H・パワーズ博士の研究を元にアメリカの連邦通信員会によって1987年に決定されたものだ。映画やテレビで採用されていた画面比率のどちらでも対応できるように、それぞれの中間を採用したと言われている。

テレビとの差別化を目的にワイド画面へと進化していった映画だったが、テレビもまた、映画を基準に進化を続けていくこととなった。現在では、PCやスマートフォンの登場などで縦長サイズなど新しい比率が生まれてきており、これから映画の画面比率が変化していく可能性もまだまだありそうだ。