最古の花の姿が明らかに…化石がものがたる被子植物の起源

地球で一番最初に咲いた花はこんな姿だったかもしれない。

今まで見つかった中で最古の花の化石が中国で見つかったそうだ。1億7400万年前の地層から発見された化石を元に科学者たちが描き出した想像図は、上にあるとおり現代のタイサンボクにも似たがっしりとした花の姿だ。

最古の花もタイサンボクのように香り豊かに咲き、虫たちを受粉に誘っていたのだろうか。

タイサンボク(Magnolia grandiflora)のみごとな大輪。 Credit: Jalynn / Pixabay

被子植物の歴史を変えた化石

花の起源は長い間科学者たちを悩ませてきた問題だ。なにしろ化石として証拠に残っている花は少ない。儚くデリケートな花が化石化するのはそう簡単ではないからだ。

形成されるのも稀、そして形成されても発掘されるのはさらに稀。これまで発見されていた最古の花の化石はおよそ1億3000万年前のものだったため、花を咲かせる被子植物の起源は白亜紀にさかのぼると考えられていた。

Credit: NIGPAS

今回ジュラ紀前期の地層から出土した化石はぜんぶで264点。198個にのぼる個別の花が見つかった。その花をひとつひとつを丹念に調べてかたちやつくりを分析した結果、独立した胚珠(種子植物の種子になる部分)が見つかり被子植物だとわかったそうだ。

今まで見つかった花とはまったく異なることから「Nanjinganthus dendrostyla」という新種として名付けられた。花を咲かせる植物の起源がゆうに5000万年も過去にさかのぼることを物語る貴重な証だ。

Credit: adriankirby / Pixabay

 

風まかせか、虫頼みか

バラも、イネも、ソラマメも、ジャガイモも…。いまや世界中の植物の約9割は花を咲かせる被子植物だ。花を咲かせる植物の起源は生物の進化の歴史において比較的新しいイノベーションだったのにも関わらず、裸子植物を抑えて一気に繁栄し、短期間で植物界を凌駕した。

被子植物の繁栄の秘訣はその新しい受粉方法にあった。それまで主流だったマツやソテツなどの裸子植物は種子を風に流して受粉を任せる風媒花だった。それに対して被子植物はほかの動物に花粉を運んでもらうという新し方法を編み出し、より確実に子孫を残すことに成功したのだ。

結果、花々はより香り高く、より巧妙な手段で虫・鳥・動物たちをおびき寄せるよう進化し、その花粉や蜜を食することでまた動物たちも共生する道を選んでいった。

Credit: 452345 / Pixabay

1億7400万年前から始まった被子植物と動物たちの共生は、当時地球に君臨しその後絶滅していった恐竜たちを後目に今でも繁栄を続けている。

たとえ今ある世界のかたちが滅んだとしても、花々はこの先何億年も咲き続けるのかもしれない。

 

山田 ちとら

*Discovery認定コントリビューター

日英バイリンガルライター。主に自然科学系の記事を執筆するかたわら、幅広いテーマの取材やインタビューにも挑戦中。根っからの植物好き。春の香りをいち早く運んでくるフリージアやスイセンなどの単子葉植物が特に好き。 https://chitrayamada.com/