ファーアウト見つけた「すばる望遠鏡」を支える技術

米カーネギー研究所のチームは、太陽系の中でこれまで発見された中で最も遠い天体「2018 VG18:ファーアウト」を発見した。

この発見には、ハワイの「すばる望遠鏡」が大きな役割を果たした。

すばる望遠鏡は、どのような仕組みで天文観測を行っているのだろうか。

 

ハワイの高地に設置された望遠鏡

Image Credit: Wikimedia Commons

1999年から観測が開始されたすばる望遠鏡は、ハワイ島マウナケア山の山頂に設置されている。そして、可視光から赤外線までの撮像用カメラと分光器をそなえている。

標高約4100メートルのこの地点は空気が薄く、晴天が多く地上の気候に影響されず、さらに乾燥しているという理想的な観測条件をそなえている。

そのため、山頂には11カ国が運営する13の望遠鏡が設置されている。たとえばすばる望遠鏡以外にも、ジェミニ望遠鏡やケック望遠鏡などの大型望遠鏡が設置されているのだ。

 

巨大な鏡を支えるシステム

Image Credit: 国立天文台

すばる望遠鏡には、有効口径8.2メートルの巨大な鏡が設置されている。鏡は大きければ大きいほど、宇宙の彼方から届く微細な光を捉えることができる。

さらに、すばるの鏡は0.012ミクロンという極めて高い精度で磨かれている。厚さ20cm、重さ22.8トンのこの鏡は、裏面に取り付けられた261本のアクチュエーターが個別に動作することで、能動的に精度が保たれているのだ。

そして、鏡は2週間おきにドライアイスで洗浄され、2〜3年おきにアルミニウムでのコーティングが施される。またすばる望遠鏡の円筒形ドームも、空気の乱れを抑えることで観測精度の向上に貢献している。

 

望遠鏡の同士の連携

Image Credit: Roberto Molar Candanosa/Carnegie Institution for Science.

さて、2018年11月にすばる望遠鏡によって発見されたファーアウトだが、実は同年12月にもチリのマゼラン望遠鏡により、追加観測が行われている。

これらの観測により、ファーアウトは「120AU」の位置にあることが判明した。これは、太陽から地球までの距離の120倍の位置に、ファーアウトが存在していることを意味する。

ファーアウトは直径500mほどの球体の準惑星で、表面は赤〜ピンク色の氷を多く含んだ天体だと予測されている。今後は、世界中の望遠鏡によりファーアウトの分析が進められることだろう。

塚本直樹

*Discovery認定コントリビューター

IT・宇宙・ドローンジャーナリスト/翻訳ライター。フリーランスとしてドイツを中心にヨーロッパにて活動しつつ、日本でのラジオ出演やテレビ、雑誌での解説も。 @tsukamoto_naoki