1万年後の人類は現代をふりかえって「ニワトリ文明」と呼ぶかもしれない

日本列島において一万年前は縄文人の時代だった。ではこれから一万年後の未来、もしまだ人類が地球上に存在し続けていたら、我々のことをなんと呼ぶだろうか?

もしかしたらそれは「ニワトリ人(Chicken People)」かもしれない――。

こんな研究結果が今月11日にイギリスの学術誌『 Royal Society Open Science』に発表されたそうだ。

 

地球はニワトリ星?

なぜニワトリなのかというと、それだけこの地球上にニワトリが多く存在しているから。

野生のセキショクヤケイ。 Credit: Jason Thompson / Wikimedia Commons

もともとはセキショクヤケイ(Gallus gallus)という野生の鳥が人に飼いならされて、時代とともに品種改良されていったのがニワトリ(Gallus gallus domesticus)なのだが、その数いまや約214億羽。75億人という世界総人口をはるかに上回り、地球上のニワトリ以外の鳥すべてを足した数をも上回る。

Live Scienceの推計によれば年間約620万羽のニワトリが人間の胃袋に納まっているそうだから、ものすごい量の骨が廃棄されているのも想像に難くない。その骨の大半は最終的に埋め立て地にたどり着く。そして埋め立て地は酸素に乏しい環境なため、有機物が保存されやすい。

ということは、私たちが食べてからポイしたフライドチキンや丸鶏の骨が埋め立て地で化石化し、後世まで残る可能性は充分にあるというのが研究の共同著者のひとり、カリス・ベネット(Carys Bennett)博士の言い分だ。

Credit: Goumbik / Pixabay

 

化石は語る

そしてもし未来の人類がこの化石化したニワトリの骨を発見し、分析する科学的知見も持ち合わせていたとしたら、すぐにこのニワトリが自然の産物ではないことに気づくだろうとも語っている。

ニワトリは人間の操作によって巨大化の一途をたどっている。特に1950年代以降はその傾向が顕著だそうで、現代の鶏モモ肉は祖先であるセキショクヤケイのモモ肉に比べて3倍も太く、2倍も長いそうだ。

成長も速められ、いまではブロイラーチキンのほとんどがわずか7週間で屠殺(とさつ)される。あまりに急速に育つために骨密度が低く、7週間以上育ち続けると自分の足で自らの巨体を支えきれなくなってしまうからだという。

 

新しい地質年代?

ベネット博士を含む多くの科学者は1950年を境に新しい地質年代を提案している。その名も「人新世(Anthropocene)」で、産業革命以降人間が地球規模のエネルギー源を利用し、地球の生態系や気候に大きな影響を及ぼすようになった時期を指すそうだ。

「人新世」が正式に認められるにはまず国際層序委員会の審議を通らなければならない。少なくとも数年かかるそうだが、その間も人間が消費するフライドチキンやローストチキンの量は一向に減らないだろう。

Credit: Christiann Koepke / Unsplash

 

山田 ちとら

*Discovery認定コントリビューター

日英バイリンガルライター。主に自然科学系の記事を執筆するかたわら、幅広いテーマの取材やインタビューにも挑戦中。根っからの植物好き。チキンも大好き。 https://chitrayamada.com/