魚は世界中で食べられているが、その中には毒を持ったものがしばしば存在する。
誤って毒を持った魚を食べてしまい、死亡してしまう事故も多く報告されている。だが、なぜ一部の魚たちは毒を持っているのだろうか。
食用にもされている毒魚フグ
フグは「テトロドトキシン」という毒を持っている。(一部のフグは別の毒を持っていることもある)これは青酸カリのおよそ1000倍の毒性があると言われており、人が誤って摂取すると呼吸困難を引き起こし、最悪の場合死に至る。
この毒は、フグが餌としているヒトデや貝類の毒を体内に蓄積した結果であるとされている。テトロドトキシンは細胞のタンパク質とくっつくことで神経を麻痺させるが、フグ自体はそのタンパク質がくっつき辛くなっているために毒の影響を受けることはないとされている。
また、フグが毒性のある餌をあえて食べる理由については、身を外敵から守るためなど諸説ある。
世界で最も強い毒を持つ魚は?

世界で最も強い毒を持つと言われている魚の一つにツノダルマオコゼがいる。
ツノダルマオコゼはオーストラリアやインド洋、西太平洋に分布している魚で、サンゴ礁や岩などに擬態しながら生息している。オニダルマオコゼと姿や生態が似ており、背ビレから非常に強い神経毒を分泌する。この毒はフグのテトロドトキシンとは異なり、ストナストキシンなどのいくつかのタンパク質の混合物となる。
ツノダルマオコゼは獲物を捕食するために海底や岩礁でじっとしていることが多く、ダイバーたちにとっては気がつき辛い危険な魚だ。自ら攻撃してくることはないが、誤って踏みつけた時などに猛毒を放出する。傷口などから毒が入ると深刻な痛みに襲われ、治療をしないと心肺機能不や血圧低下などのショックによって死に至ることがある。
この毒は熱に不安定であるため、患部を処置した後、43度ほどのお湯で30分から90分温めることで痛みが緩和される可能性がある。だが、応急処置をしても直ちに病院に行く必要があることには変わりはない。