都市からスズメが姿を消した理由と、私たちが今すぐできる3つのこと

朝目が覚めた時に、ちょっとだけ耳を澄ましてほしい。外ではどんな鳥が鳴いているだろうか?

マンガやアニメなどでも定番の「チュン、チュン」「チチチ…」という可愛らしい鳴き声はスズメ(Passer montanus)。かつては窓越しにおしゃべりが聞こえてきていたのだが…。

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最近ではスズメのおしゃべりを聞かないどころか見かけること自体少なくなった。それもそのはずだ。日本経済新聞によれば、日本のスズメの数は1990年から20年間で半減したと推定されている(北海道教育大学・三上修准教授の調べによる)。

しかも、スズメが減ってきているのは日本だけではない。

スズメの種類こそ違うものの、ヨーロッパやインドでも同様に減ってきている。イギリスの鳥類保護団体・The Royal Society for the Protection of Birdsによれば、1994年から10年間でロンドンのスズメ(Passer domesticus)の数は60%も減少したそうだ。

Credit: Filio / Pixabay ヨーロッパ、アメリカ、インド、オーストラリアとニュージーランドに生息するPasser domesticus。ねずみ色のベレー帽が特徴。

 

なぜ減少しているのか

エサ不足:同団体の調査によれば、昆虫やイモムシなどの動物性のエサが不足しているためにヒナの生存率が低下したことがわかった。エサ不足はヒナのみならず、成鳥の数を減らしていることも容易に想像がつく。また、イネ系の雑草など、スズメが好んで食べる植物性のエサも緑地減少に伴い不足してきている。

エサの量の低下とともに、質の低下もスズメの減少に拍車をかけている。なかにはゴミを飲み込んで窒息死したり餓死するヒナもいるそうだ。

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公害の影響:学術誌「Frontiers in Ecology and Evolution」に掲載された研究によれば、産業廃棄物による環境汚染が都会に住むスズメたちにストレスを与え、免疫力を低下させているそうだ。

研究者たちはスペインのイベリア半島の都市部と地方で何百というスズメから血液を採取し、血中のフリーラジカル(遊離基)の量を比較した。ストレスにさらされると酸化過程が進み、よりフリーラジカルが増えるという。結果、都市部のスズメのほうが酸化過程が進み、免疫力が低下していた。

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スズメのお宿の消失:スズメはもともと人里に適応してきた鳥だった。家屋のすき間や穴に巣を作り、都市部でも繁栄していた。ところが、現代の高気密住宅にはすき間がなく、瓦屋根も減少の一途をたどっている。スズメが巣を作れる場所が年々減っていくなか、エサが少なくなってきていることも重なって少子化が進んでいるそうだ。

日本経済新聞によれば、親スズメが連れている子スズメの数を調べたところ、農村地の2.03羽や住宅地の1.79羽に対し、商業地では1.41羽だった。

 

私たちが今すぐできること

このままではあの愛らしい「チュンチュン、チチチ…」がどんどん遠退いていくばかりだ。我々人間にできることはないのだろうか?

じつは、いろいろある。

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まずは庭先やベランダにきれいな水(できれば雨水)を用意してあげること。上の画像のようなバードバスならなお良い。スズメたちの水分補給になるし、汚れを落とす場所にもなる。

エサ台を設置してもスズメが来るとは限らない(むしろでしゃばりなヒヨドリや好奇心旺盛なシジュウカラに占領される可能性が高い)が、実をつけるイネ科の雑草を増やすことで一年を通してスズメのエサの確保につながる。植生が旺盛ならば、昆虫やイモムシも増えてさらに野鳥のお腹も満たされる。

庭があるご家庭なら巣箱を設置するのも手だ。東北森林管理局のサイトによれば、スズメに気に入ってもらえる巣箱を作るには巣穴を直径3センチ、設置する高さを3メートルぐらいに設定するといいそうだ。

たかがスズメ、されどスズメ。スズメは環境のバロメーターともいう。スズメが耐えきれない環境は、すなわち人間にも悪いはずだ。小さな鳥たちのおしゃべりを楽しめる朝を迎えたい。

 

山田 ちとら

*Discovery認定コントリビューター

日英バイリンガルライター。主に自然科学系の記事を執筆するかたわら、幅広いテーマの取材やインタビューにも挑戦中。根っからの植物好き。最近キツツキ科の魅力にハマっている。 https://chitrayamada.com/