ここ掘れワンワン?ワンコが探し出すのは食卓のダイアモンド、トリュフ!

「トリュフ」と聞いて頭に浮かぶのは、どんな食べ物であろうか。

コロンとしたかわいいチョコレートを思い起こす人のほうが多いであろう。実際には、トリュフ・チョコレートは「トリュフ」という高級食材に形状が似ていることからそう名付けられている。フランスやイタリアが主な原産地のトリュフは、キノコの一種だ。高級食材ゆえ、ヨーロッパでも庶民がパクパク食べるものではない。犬の嗅覚に頼らなければ、収穫ができない希少性の高い食材なのである。

 

月夜の晩に、犬の嗅覚を頼りにトリュフ狩り!

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世界三大珍味のひとつトリュフは、実際に目にすると不格好なシロモノである。

地下30センチから40センチの土中に生えているトリュフは、人間の力では発見することもままならないい。トリュフ採集には、よく訓練した犬の鼻だけが頼りだ。とはいえ、警察犬と同様に、犬ならばどの犬でもその資質に恵まれているのではないという。トリュフの独特の香りが「好き」であることが、犬にとってもその職業に従事する第一条件なのだそうだ。

北イタリアのトリュフ採集者たちの「就業時間」は、日没から夜明けの1時間前までと決められている。刺激のない暗闇の中でならば犬の集中力が高まるというのが、理由のひとつだ。トリュフ狩りのベテランたちによれば、特に月夜の晩は犬たちの集中力が高まりトリュフ狩りに向いているそうだ。また、トリュフ採集者たちはトリュフ狩りを副業にしている人も多い。昼間は通常通り仕事をし、トリュフ採集の時期だけ臨時に夜間に働く。

とはいえ、トリュフの名産地として知られるアルバは、バローロなどのワインの生産地としても知られている。生活の資のためにトリュフ採集を副業にしている人より、道楽のようにトリュフ狩りを楽しむ人も多いのが実情だ。

 

ベテランの犬と若いトリュフ採集さが最高の組み合わせ

たいてい、トリュフ採集の極意は父親から息子に伝えられる。一晩に、平均して3時間ほど山間部を歩き回るこの仕事は、体力も要するのだろう。人間もベテランのほうがいいかと思いきや、ベテランたちの言では「人間は若く、犬はベテラン」であることがトリュフ狩りの最高の条件だという。

犬たちは、トリュフのにおいを嗅ぎつけると主人のもとに主人に知らせる。人間は、犬が示した場所に棒を差す。懐中電灯で穴を照らしながら、ピッケルでゆっくりと掘り起こす。トリュフが見つかっても、すぐに土を払わずに香りを保つためにしばらくはそのままで置く。掘り起こした穴をもう一度土で覆うのは、翌年の採集のためだという。

古代ローマ時代から存在が確認されている「トリュフ」は、その昔は豚の鼻を頼りに採集していた。中世の終わりに、より人間に忠実な犬が訓練されてトリュフ狩りを行うようになったと伝えられている。

降雨量が多かった2018年は、量も質もともにトリュフにとって良年で、価格も落ち着いている。特に貴重な白トリュフは、今年は1キロ当たりの相場が2100ユーロ(約27万円)。昨年は、45万円近かったことを思うと、今年はバーゲン価格といってもよい。

 

トリュフの芳香の秘密をフランス国立農学研究所が発見

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トリュフの独特の芳香は、ヨーロッパではパスタに練りこまれたり、オリーブオイルの香り付けとなっていたりする。日本のマツタケの風味が、出汁や混ぜご飯のもとにつけられているのと似ている。

一度嗅ぐと忘れられない非常に独特の香りを放つトリュフは、その秘密を探ろうと農学者たちが躍起になってきた。また、まがい物を市場から放逐することも、研究の目的のひとつとされてきた。

今年の11月、フランス国立能楽研究所(INRA)率いる国際研究チームは、犬や豚の関心を引く白トリュフの芳香について、遺伝学的な研究結果を科学雑誌に発表している。トリュフは白いものも黒いものも、非常に香りの強い揮発性有機化合物を産生する遺伝子を豊富に有していることが判明した。

未来への確実な投資?トリュフの栽培は可能か

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近年、トリュフの栽培は増加の一途をたどっている。「森の宝石」と呼ばれ、世界三大珍味のひとつであるという評価によって、農家にとっては確実な未来への投資なのである。

トリュフが共生しやすい約500種の植物が農地にあることが、必須の条件とされている。この条件をそろえるには、1ヘクタール当たり約90万円がかかる。

トリュフの収穫には、栽培を開始して最低でも4年はかかるというのが常識だ。11年目くらいから質の良いトリュフの栽培が可能になる。EUも、トリュフ栽培に対して助成金を出資している。しかし、トリュフの栽培は森林における自発的なトリュフの成長を妨げることになるのではという懸念も絶えないようだ。

Sachiko Izawa

*Discovery認定コントリビューター

イタリア在住ライター。執筆分野は、アート、歴史、食文化、サイエンスなどなど。装丁が気に入った本は、とりあえず手に入れないと気持ちが落ち着かない書籍マニア。最近のひとめぼれは、『ルーカ・パチョーリの算数ゲーム』。@cucciola1007