宇宙から帰ってきた魔法瓶? こうのとり7号機の回収実験の意義

2018年11月11日、日本の宇宙ステーション補給機「こうのとり7号機」が宇宙ステーションから分離した。

こうのとり7号機は物資の運搬だけでなく、小型回収カプセルの技術実証にも成功した。

おなじみの家電メーカーも関わったこの実証実験には、どのような意義があったのだろうか。

 

宇宙ステーションの生命線

Image Credit: JAXA/NASA

こうのとり7号機は、日本が運用する宇宙ステーション補給機だ。その役目は、宇宙飛行士の生活や実験に必要な物資を国際宇宙ステーション(ISS)届けることにある。

今回、こうのとり7号機はISSへと生鮮食品、実験装置、ISSへの機器を輸送した。その中には、日本製リチウムイオンバッテリーやNASAとESA(欧州宇宙機関)の実験ラックも含まれている。

9月28日に国際宇宙宇宙ステーションにドッキングしたこうのとり7号機は約41日間係留され、11月11日に分離。内部に積み込まれた不用品とともに、大気圏へと突入しその役目を終えた。

 

魔法瓶の技術を活用したカプセル

Image Credit: JAXA

今回のこうのとり7号機では、内部に「小型回収カプセル」が搭載されていたのが大きな違いとなる。この小型回収カプセルは、内部の宇宙実験サンプルを保護しながら地球へと持ち帰り、回収するのが目的だ。

そして小型回収カプセルの開発には、炊飯器や魔法瓶でおなじみタイガー魔法瓶が協力。真空二重断熱容器を提供している。これにより、大気圏突入時の熱と衝撃から、冷蔵が必要なサンプルを守るように設計されている。

カプセルは「揚力飛行」により加速度を抑えながら目的地へと誘導され、海上にパラシュートで着陸。その後回収船が中身を回収し、筑波宇宙センターへと輸送された。

 

日本の宇宙開発に重要な意味

Image Credit: JAXA

これまで、宇宙での実験サンプルの回収は海外の宇宙船が担当してきた。しかし、今後は日本が独自に宇宙から地球へと物資を持ち帰ることができるようになる。

これにより、日本はISSに乗り合わせる他国の都合やスケジュールに影響されることなく、実験を進められるようになる。実際、今後も小型回収カプセルはこうのとりによって運用される予定だ。

さらに、小型回収カプセルの技術を応用すれば、将来的には宇宙飛行士が搭乗する宇宙船の開発にも繋げられるかもしれない。日本は現時点では独自の宇宙飛行士の打ち上げ計画を持っていないが、このような技術の積み重ねが、日本の宇宙開発の可能性をさらに広げるはずだ。

塚本直樹

*Discovery認定コントリビューター

IT・宇宙・ドローンジャーナリスト/翻訳ライター。フリーランスとしてドイツを中心にヨーロッパにて活動しつつ、日本でのラジオ出演やテレビ、雑誌での解説も。 @tsukamoto_naoki