打上げ成功した宇宙開発ベンチャーが、小型ロケット市場に与えるインパクトとは

2018年11月10日(現地時間)、ニュージーランドにて小型ロケットの打上げが成功した。

小型ロケットは、今後の宇宙開発の姿を大きく変える可能性を秘めている。

日本でも開発の進む小型ロケットについて、現状をまとめてみよう。

 

急ピッチで事業化にたどり着いたロケット・ラボ

 

Image Credit: ロケット・ラボ

今回小型ロケット「エレクトロン」を打上げたのは、宇宙開発ベンチャーの米ロケット・ラボ社だ。ニュージーランドに射場を持つロケット・ラボは、カリフォルニアにも拠点をおいている。

エレクトロンは全長約17メートルの2段式液体燃料ロケットで、太陽同期軌道に150kgのペイロード(積荷)を投入可能。また機体にカーボンファイバーを、そしてエンジンに3Dプリントパーツを採用しているのも特徴だ。

エレクトロンは2017年5月にテスト打上げを実施し、2018年1月には軌道打上げに成功。今回の打上げでは企業や教育機関から委託されたペイロードを投入したことで、短期間での事業化を成功させたことになる。

 

ロケット・ラボに集まる契約

 

Image Credit: ロケット・ラボ

このように順調にロケット開発を進めるロケット・ラボに対して、政府や企業からも多いに期待が寄せられている。

たとえば、2019年に打上げられるエレクトロンには、キヤノン電子の人工衛星が搭載される予定だ。また、NASAから委託される人工衛星の打上げも予定している。

さらに、以前には月面探査レース「Google Lunar XPRIZE」のアメリカチーム「ムーン・エクスプレス」の探査機打上げにも、エレクトロンの利用が計画されていた。同チームはレースが未達で終わった後も、2020年の単独での月面探査を予定している。

 

世界で盛り上がる小型ロケット市場

 

Image Credit: スペースワン

このような小型ロケットの開発は、日本を含む世界で進められている。まず北海道大樹町を拠点とするインターステラテクノロジズ社は、小型ロケット「MOMO」の2回の打上げ実験を実施し、次は3回目の打上げ実験を予定している。

さらにキヤノン電子やIHIエアロスペース、清水建設などは、小型ロケット打上げを目指す「スペースワン」を設立。2021年度中の事業化を目指している。参加企業はJAXAの小型ロケット「SS-520」での部品開発のノウハウを持っているのが強みだ。

さらに米ヴェクター・スペース・システムズやスペインのPLDスペース、それに航空機からの打上げを目指すヴァージン・オービットなども、小型ロケットの打上げ事業化を睨んでいる。今後は、民間事業者による小型ロケットでの宇宙開発が世間を賑わすことになるだろう。

塚本直樹

*Discovery認定コントリビューター

IT・宇宙・ドローンジャーナリスト/翻訳ライター。フリーランスとしてドイツを中心にヨーロッパにて活動しつつ、日本でのラジオ出演やテレビ、雑誌での解説も。 @tsukamoto_naoki