笑いあえなくても愛しあえる…「絶対笑わない夫婦」が抱える理由

幸せな夫婦の生活といえば、笑顔の絶えない暮らしのことを言うだろう。しかし、夫も妻も決して笑顔を見せない1組の夫婦がいる。愛し合って結婚し、幸せに暮らす2人が、なぜ笑わないのか?

その理由は、彼らの出会いと彼らが抱えていることにあった。

 

夫婦が笑わない理由は、2人が抱える難病にあった

英コヴェントリー出身のアレックス(45歳)と、米ノースカロライナ州出身のエリン(38歳)は、出会ってから4度目のデートの後、結婚を約束した。2人は恋に落ちて幸せな結婚をしたのに、笑顔を見せることはない。それは、2人が共に、メビウス症候群という病を抱えているからだ。

メビウス症候群は、顔の神経に先天的に麻痺を認める病気で、日本では指定難病に分類されている。そのため、泣いたり笑ったりしても表情が変わらない、まばたきをしない、といった症状が見られる。そんな病をアレックスとエリンの2人が抱えているため、決して笑うことはないのだという。

 

メビウス症候群でも伝えられる2人の気持ち

アレックスは幼い頃、たびたびいいじめに合い、ガールフレンドを作ることはできなかったという。初対面で人と会うとき、人は笑顔でアレックスに挨拶するのに、彼は笑い返すことができない。

だから、エリンと会うときまで、彼はパートナーと出会うことなんて難しいとわかっていたそうだ。まして、同じ病気を抱えている相手だなんて…。

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だが、2人はメビウス症候群の患者が集うSNSを通じて知り会い、急速に距離を縮めていった。

エリンが喜ぶときは、頭を片方に傾けて「オー!」と発するなど、怒ったときもイライラしたときも、身ぶりなどを交えたコミュニケーションで、お互いの気持ちを伝えあっている。そして、彼らの親しい家族や友人からすれば、「目を見れば、ハッピーかどうかわかる」そうだ。

 

メビウス症候群は珍しい病気で、英国の患者はたった250人、世界でも1,000人以下と言われている。だが、彼らが出会い、共に人生を歩むこととなったのは、病気がもたらした奇跡のひとつかもしれない。

アレックスは、エリンについてこう話している。「エリンが僕を見るとき、彼女の心の中で微笑んでいることが僕には見えているんだ」。

 

Makiko Sato*Discovery認定コントリビューター

雑誌編集者や広告のプランナー、コピーライターとして長年経験を積み、フリーランスのプランナー、エディターとして活動中。