痛みはポジティブ思考で軽減できるらしい…米研究

患者の訴える症状のなかで一番多いのが痛み。痛みは体のどこかに傷や不具合が生じた時に知らせてくれる、命を守る大切なメカニズムだ。

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痛みの感じ方は人によってそれぞれ違う。注射器を見ただけで痛いと感じてしまうような敏感な人からベア・グリルスのような苦痛にしこたま打たれ強い人までさまざまだ。

感じ方だけではなく、痛みにどれだけ堪えられるか、痛みをどのように表現するか、また痛みを緩和するための処置にどのように反応するかなども人によって変わってくる。

もし患者一人ひとりの痛みの感じ方を詳細に分析してカルテに書き込めたなら、よりパーソナライズされた医療や適切な薬の処方につながり、患者の苦痛を減らせるだろう。

そしてもし痛みに弱い人がより強くなれるような治療法があれば、痛みを軽減するだけではなくより早く怪我や病気から回復できるかもしれない。

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痛みの感じ方は遺伝する

なぜ痛みの感じ方は人それぞれなのだろうか?

The Conversationによれば、痛みの感じ方は遺伝子的な要素と、心理的な要素と、環境的な要素の3つに影響されるそうだ。

このうち6割を占めるのが遺伝子。ヒトゲノムの解析が完了してから、痛みの感じ方に関係している遺伝子もいくつか特定された。その中でも研究が進んでいるのがSCN9Aで、痛みが脳に伝わるナトリウムチャンネルをつかさどっている。

SCN9Aの突然変異はまったく痛みを感じることができない先天性無痛症や、逆に痛みに過敏になる原発性肢端紅痛症や発作性激痛症を引き起こすことで知られている。

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これらの両極端の挟間に大多数の人がいて、それぞれ多様な遺伝子のコーディングによって痛みを感じる振り幅が変わってくるそうだ。

 

痛みの感じ方は生い立ちにもよる

また痛みの感じ方には心理的な要素や生まれ育った環境の作用も大きい。

米コロラド大学が最近発表した研究によれば、「痛い」と思えば思うほど痛く感じ、反対に痛みを感じれば感じるほど次も痛い思いをすると思ってしまうそうだ。痛みが増幅していく脳内フィードバック・ループである。

過去にトラウマに悩まされた経験やとても痛い思いをした記憶が心理的に作用して痛みに敏感になってしまう傾向もあるという。

薬に頼らない疼痛処理?

痛みの感じ方の4割は心理的なものであるということは、考えようによっては体の苦しみを軽減できるということでもある。

既出のコロラド大学の研究では、ポジティブなフィードバック・ループの存在も発見したそうだ。いわく、さほど痛いと思わなければ感じる痛みもそれ相応にあまり痛くないそうだ。

頭が痛い時はその痛みに集中してしまいがちだが、その集中力がさらに痛みを強く感じさせているのかもしれない。薬と併用してポジティブ思考でいきたい。

 

 

山田 ちとら

*Discovery認定コントリビューター

日英バイリンガルライター。主に自然科学系の記事を執筆するかたわら、幅広いテーマの取材やインタビューにも挑戦中。根っからの植物好き。出産を経て痛みに強く(鈍感に?)なったと感じている。 https://chitrayamada.com/