あなたには聞こえる?人間の可聴音域すれすれの超音波がもたらす健康被害とは

ほかの人には聞こえない音、あなたには聞こえているだろうか?

たとえばブラウン管テレビやネズミ除け装置が放つ「ヒィィィン」という高周波の音や、センサーなどから聞こえてくる「ピキーーーーン」という耳ざわりな超音波。

都会で暮らす私たちは常に高周波・超音波に囲まれている。多くの場合これらの音は機械から意図せずとも漏れ出しているのだが、ごく一部の人にしか聞こえていないためあまり問題視されていない。

 

あなたの「耳年齢」はどのぐらい?

人間が聞こえる音の範囲は周波数でいうとだいたい20~20,000Hzだが、それよりも広い可聴音域を持つ人もいる。幼児を含む若い年齢層と成人女性の一部に多いそうだ。老化に伴い特に男性の場合は高周波の音が聞こえにくくなるので、より若い人と女性のほうが敏感に音をキャッチできるという。

一般的に14,000Hzの周波数を持つ音が聞こえる人は「耳年齢」が49歳以下、15,000Hzは39歳以下、16,000Hzは30歳以下、17,000Hzは24歳以下だと言われている。

あなたの耳年齢はどのぐらいだろうか?

(注:ヘッドフォンかイヤホンを使ったほうがより診断しやすいが、慣れないうちは音量を低めに設定したほうが無難。周波数が上がるにつれて不快感が増す場合もあるので注意が必要だ。)

 

聞こえる被害

耳がいいに越したことはないと思うかもしれない。だが聞こえてしまう人々にとって超音波は不快でしかない。

超音波による長期的な健康被害はいまのところ認められていないものの、頭痛・めまい・吐き気・耳鳴り・難聴などの症状を訴える人も多い。これらの症状は音が取り除かれると30分から1時間後には消えるそうだが、なぜ起こるのかはいまだに解明されていない。

Credit: Berzin / Pixabay

身近な例は2016年にハバナの在キューバ米大使館で勃発した正体不明の「音響攻撃」だろう。被害に遭った大使館関係者はいずれも頭痛や耳鳴りを訴えたそうだが、これらが超音波の被害と酷似していることは確かだ。

 

見えない脅威

超音波がやっかいなのは聞こえない人が被害に気づけないことだ。聞こえてしまう人が被害を訴えても、幻聴や妄想、ひどい場合には霊のしわざだなどと否定されてしまうことも…。

超音波の被害に詳しいサウサンプトン大学のレイトン教授(Professor Timothy Leighton)によれば、公共施設に設置されたネズミ駆除器や拡声装置などから超音波が漏れていることが多いという。

大人が気づかないまま子どもだけが被害にさらされている場合もある。音に敏感な人だけが苦しめられる、まさに見えない脅威だ。

Credit: mintchipdesigns / Pixabay

問題の把握に科学も行政も追いついていないという現状。もしあなたの身のまわりで急に頭が痛くなったり、気分を悪くしたりする子どもを見かけたら、それは超音波のせいかもしれない。すぐにその場所を離れて安全を確保しよう。

 

山田 ちとら

*Discovery認定コントリビューター

日英バイリンガルライター。主に自然科学系の記事を執筆するかたわら、幅広いテーマの取材やインタビューにも挑戦中。根っからの植物好き。何度聞いてみても16,000Hz以上は無……。 https://chitrayamada.com/