青く光るバナナをご存知だろうか?
実はこのバナナ、何の変哲もないスーパーで売っているバナナである。
ではなぜバナナが青く光るのか?そもそもなぜ熟したバナナは緑から黄色になるのか?
その秘密はバナナに含まれる化学物質Mc-FCC-53にあった。
蛍光バナナの正体

バナナにはクロロフィルと言われる成分が含まれている。
クロロフィルは植物がエネルギーを作りだす光合成に必要な物質であり、ほうれん草やパセリなどに多く含まれている。健康食品やサプリメントで有名なクロレラやスピルリナもクロロフィルを多く含むことで有名である。

実はクロロフィルは次第に分解され、蛍光物質となる。
通常、クロロフィルが分解されてできた蛍光物質は不安定なためすぐに分解されてしまい確認することが難しい。
しかしながら、バナナが成熟する過程でできる蛍光物質Mc-FCC-53は特殊であり、生体内の化学反応により安定化するため、分解されにくく蓄積される。
そのためバナナは青色に光ることができるのだ。

さらに腐敗直前のバナナをさらに観察すると、シュガースポットと言われる黒い斑点ができているのがわかる。このシュガースポットにブラックライトをあてると、点の周囲は強い蛍光を発する一方で、斑点の部分はあまり光らない。
成熟部位ではMc-FCC-53の濃度は高くなるものの、腐敗してしまった黒い部分ではMc-FCC-53の濃度は低下し、光にくくなっているという。

実際に、バナナの成熟度別にMc-FCC-53の含有量を比較すると、成熟とともに増大し、腐敗とともに低下しているのが分かる。
なぜ熟したバナナは黄色なのか?
新しい緑のバナナを置いておくと、次第に黄色になる。
実はこの色彩の変化にもクロロフィルが関係していたのだ。
クロロフィルはクロレラからも想像されるように、緑色の物質である。
実はバナナにはクロロフィルだけではなく、人参等に含まれる黄~赤色を示す物質であるカロテノイドが含まれている。
クロロフィルが次第に分解され、Mc-FCC-53となることでバナナの緑色は弱まり、代わりにカロテノイドにより黄色系の色が強く現れる結果バナナは黄色になるのだ。

美味しいバナナの見分け方
答えは簡単。黄色のバナナを並べブラックライトで照らしてみよう。
答えはすぐ目の前にある。

池田あやか
*Discovery認定コントリビューター
大学では薬学を専攻。科学の面白さを伝えようと、見て楽しい・触って楽しい科学イベントやサイエンスライターをしている。最近のお気に入りはモルフォ蝶の羽の構造色を利用したピアス。