携帯電話に残したメッセージは遺言になる!? 米ミシガン州のケース

人生最後のメッセージを、身近な携帯電話に残しておく人がいる。しかし、携帯電話に込められた本人の思いは、遺言として認められるのだろうか?

米ミシガン州で、ある男性が「母には遺産を渡さない」という意思を携帯電話に残した。「正当な遺言ではない」と主張する母親に対して、はたして裁判所はどんな判決をしたか、紹介しよう。

 

アメリカ人男性が残した最後のメッセージは携帯電話の中

米ミシガン州で21歳の男性が自殺をした。彼は手書きでこんな手紙を残していた。

「こんなことになって、本当にごめんなさい…。僕の最後の言葉、お別れのメッセージが携帯電話の中に入っています。」

そして、彼の携帯電話にあった文書には、「できる限り、僕の投資信託はすべて妹に渡してほしい。母ではなく」と書かれていた。彼の投資信託は、亡くなった父親が残した10万ドル(約1100万円)もの価値があり、これらの財産が母親の手に渡ることを彼は拒んだのだ。

彼は母親とは疎遠で、彼が亡くなったときも一緒に暮らしていたのは、祖母だった。

 

デジタル文書は遺言書になる?裁判所が出した判決は…

一方、遺産相続を息子から拒否された母親は、裁判で「携帯電話に書かれたデジタルのメッセージは、正規の遺言書と認められるべきではない」と主張。母親側の弁護士も、「携帯電話に残されたメッセージは、本当に彼が書いたものかわからないし、いつでも修正できる文書だ」と指摘した。

ミシガン州の法律には、遺言書は2人の証人のもとで本人が署名することが明記されている。証人がいない場合は、文書は本人の手書きで作り、手書きの署名と日付が記されなければいけない。

今回のケースで、彼が携帯電話に残したメッセージはこれらの遺言書としての条件は満たしていなかった。だが、彼のルームメイトが、彼が生前に話していたことと携帯電話に残されたメッセージの内容が合致すると裁判で証言。

そして、これは彼自身が残したメッセージであると認められ、遺言として有効であると判決が出たのだ。

Credit:Creative Commons

 

オーストラリアで同様のケースも

同じようなケースは、オーストラリアでも2016年に起きている。自殺した55歳の男性は、彼が所有していたすべてのものを、妻ではなく、彼の兄弟と甥に相続してほしいと、携帯電話のテキストメッセージに残していた。この場合も、裁判所では遺言として有効であると判決を出している。

 

デジタル化が進む現代では、最後のメッセージを携帯電話に残すケースは今度さらに増えていくかもしれない。ただ、裁判を開かずともスムーズに遺産相続をするためには、法令に則った遺言書を作っておきたいものだ。

 

Makiko Sato*Discovery認定コントリビューター

雑誌編集者や広告のプランナー、コピーライターとして長年経験を積み、フリーランスのプランナー、エディターとして活動中。