宇宙や航空分野にて、多大な貢献を続けているアメリカのNASA(アメリカ航空宇宙局)。
宇宙飛行士や宇宙開発のために誕生した技術は、意外な形で私達の生活に活かされている。
今回は、NASAの流れを組む身近な技術をご紹介しよう。
宇宙の寝心地を再現

柔らかく、自分の体に沿った形に変形する「テンピュール」の枕やマットレス。実はこの製品に使われている技術は、NASAがロケット打ち上げのために開発したものなのだ。
ロケットに乗り込む宇宙飛行士には、打上げ時に大きな負荷がかかる。その負荷を均一に分散するため、新たなサポート材が必要となったのだ。
やがてその技術を応用したマットレスや枕が開発され、販売されると世界で大人気に。またテンピュールはNASAからも認定を受けたブランドとなっている。
お掃除に必須なあの家電も

家具の隙間や車の掃除に活躍する「コードレス掃除機」。実はこちら、月面探査の技術が活用されているのだ。
月面探査が実施されたアポロ計画では、月のサンプル収集のためにポータブル式のドリルが使用された。そしてBlack & Decker社はそのコンピュータープログラムを開発したのだ。
やがてそのプログラムは、小型真空バキュームクリーナー「ダストバスター」の開発につながった。月の岩石を吸い込んだ技術が手元の家電に活用されていると思うと、なんとも感慨深いのではなかろうか。
日本の味を宇宙でも

一方、日本のJAXA(宇宙航空研究開発機構)は「宇宙日本食」として、国際宇宙ステーション(ISS)へと輸送可能な食品を認証している。
認証された食品はしょうゆや羊羹、サンマの蒲焼、さばの味噌煮など、思わず名前を聞くだけでお腹が空いてしまいそうなものばかり。また亀田製菓株式会社からは「柿の種」が宇宙日本食に認定された。
現在もISSではさまざまな実験が続けられており、その技術は地上へとフィードバックされている。今後もNASAの技術を活用したさまざまなプロダクトが、私達の生活を豊かにしてくれることだろう。
塚本直樹
*Discovery認定コントリビューター
IT・宇宙・ドローンジャーナリスト/翻訳ライター。フリーランスとしてドイツを中心にヨーロッパにて活動しつつ、日本でのラジオ出演やテレビ、雑誌での解説も。 @tsukamoto_naoki