火星地下に存在しうる酸素は何を意味するのか

最新研究により、火星地下の塩水湖に生命が存在しうる量の酸素が存在していることが指摘された。

火星ではこれまで、十分な量の酸素が存在するとは考えられていなかった。

はたして火星の酸素は、地球外生命体の存在を意味しているのだろうか。

 

火星の地下の氷に溶け込む?

Image Credit: ESA/DLR/FU Berlin

今回NASAのジェット推進研究所(JPL)のブラダ・スタメンコビッチ氏が発表した論文によれば、火星の地下の氷に酸素が溶け込んでいる可能性があるという。

火星には南北の極だけでなく、中緯度にも氷が存在していることが確認されている。さらにその地下にも塩水による氷が横たわっている可能性が指摘されており、ここに酸素が溶け込んでいるというのだ。

なお、火星の大気にも酸素はごく僅かに存在している。ただしその割合は地球に比べると極めて少なく(約0.13%)、生命活動との結びつきについてはあまり考慮されていなかった。

 

キュリオシティの探査が貢献

Image Credit: NASA

それでは、なぜ今回酸素の存在が指摘されたのだろう。それは、火星探査車「キュリオシティ」によって「酸化マンガン」が発見されたことによる。この酸化マンガンは、その名の通り酸素が豊富な環境で生成される物質だ。

また、水(氷)は塩分濃度によってその溶解温度が変化する。現在の火星は超極寒環境だが、塩水なら酸素が溶け込んだ液体の状態で存在できる可能性が出てくるのだ。

キュリオシティはNASAが2011年に打上げた探査車で、2012年より火星を移動しながら土壌や大気を観測している。またこれまでにも、過去の火星に豊富な水が存在していた証拠を発見している。

 

はたして火星に生命は存在しうるのか

Image Credit: NASA

これまでもさまざまな探査機が調査を続けているにもかかわらず、火星に生命が存在した、あるいは存在している決定的な証拠は見つかっていない。

火星には確かに水分は存在しているのだが、十分な酸素がないため、地球と同じような光合成や好気性生物ではなく、嫌気性生物の存在が模索されてきた。

今回の論文が事実なら、火星における地球外生命体の可能性をさらに広げることとなるだろう。

塚本直樹

*Discovery認定コントリビューター

IT・宇宙・ドローンジャーナリスト/翻訳ライター。フリーランスとしてドイツを中心にヨーロッパにて活動しつつ、日本でのラジオ出演やテレビ、雑誌での解説も。 @tsukamoto_naoki

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