タンポポの綿毛は物理学的に計算されていた!小さなタンポポに隠された大きな秘密

アスファルトの隙間、校庭の花壇、あぜ道。

道端でみつけたタンポポの綿毛を飛ばし、眺めてみる。

なぜタンポポの綿毛は見つけやすく、長期間飛ぶことができるのだろう?

その秘密は二度にわたる茎の成長と綿毛の厳密な構造に隠されていた。

Credit:Creative Commons

タンポポは二度成長する!?

黄色い花が咲いているタンポポの茎(花茎)と綿毛のタンポポの茎を比較すると、綿毛のタンポポ茎が長く、背が高いことにお気づきだろうか?

実はタンポポをよく観察すると、開花後一度茎が倒れた後に再び成長を開始し、立ちあがり綿毛となっていることがわかる。

タンポポの茎は植物学的には枝であり方向性をもつ。通常の枝と同様に最初は斜めに成長し始めるが、やがて一方の側面のみが伸びることで真っ直ぐに伸びる。花が咲き終わると、先ほどとは異なる側の茎が伸びはじめ、茎は倒れた姿勢となる。

その後、綿毛を付ける段階になり今度は先ほどと異なる側の茎が伸びはじめることで再びタンポポは立ち上がるのだ。

なお、この立ち上がりには受粉や種子の成長によるオーキシンという植物ホルモンが関与していると言われている。

二度にわたり成長する理由は明らかではないが、更なる成長をとげ戻ってくる姿はまさしくタンポポ=Dandelionの名にふさわしいのではないだろうか。

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タンポポの綿毛は物理学的に計算されている!?

タンポポの戦略は茎の成長だけではない。実はタンポポの綿毛は物理学的に非常に飛行に適した構造をしていることが証明されたのだ。

種子の飛行については、カエデの様な羽型の膜(翼果)が回転しながら落下する際に空気の渦を作り、空気圧を低下させることで、空中の滞在時間を延長させていること。この構造はトンボやハチドリが飛行する原理と同一であることが知られていた。

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ではタンポポはどの様にして、羽型ではなく綿毛で長期間の飛行を可能にしているのだろうか。

その秘密はタンポポの綿毛の構造にあった。

中山尚美氏、Ignazio Maria Viola氏らの研究(Natura,17 October 2018)により、綿毛が飛行する際に安定した空気の渦が種の本体から離れた所に生じ、綿毛の下に一定の距離を保って存続することが明らかとなった。

また、タンポポの綿毛の隙間の間隔が渦を安定に適した構造となっていることが示唆されている。

さらに、タンポポの綿毛によって生じる一定の面責あたりの空気抵抗が、平たく丸い固体の物体の場合の4倍以上になっていることが明らかとなった。

空気抵抗は落下する物質に対して上向きに働く力であり、空気抵抗が大きいほど、物質の落下速度は低下する。

すなわち、タンポポは安定した空気の渦をつくること、空気抵抗を大きくし落下速度を遅くすることで、飛行を効率よく有利にしているというのだ。

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自然界には我々が気づいていない巧妙な仕組みが隠れている。

人類が飛行機を発明して100年以上が経過してもなお、我々はまだまだ自然に学ぶべきことがあるだろう。

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池田あやか

*Discovery認定コントリビューター

大学では薬学を専攻。科学の面白さを伝えようと、見て楽しい・触って楽しい科学イベントやサイエンスライターをしている。最近のお気に入りはモルフォ蝶の羽の構造色を利用したピアス。

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