想像していたよりキケン…!鼻をほじってはいけない理由

ふと気がつけば、子どもの指先がガッツリ鼻の穴の中に突っ込まれている…こんな光景を何度見かけたことか。

しかも、その行為に及ぶまでの一連の動作はしなやか且つスピーディーで、いくら「汚いからやめなさい!」と言い聞かせようとも自然に手が動いてしまうかのようだ。まるで穴があるからふさぐ必然性があるとでも言わんばかりに。

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じつはこの鼻ほじり、今まで漠然と想像していた以上に危険な行為であることがイギリスのリバプール熱帯医学研究所が発表した論文により明らかになった。鼻ほじりは肺炎球菌に感染するリスクを高めるというのだ。

これまで肺炎球菌には空気中の水滴に混じった菌を吸引することで感染するとされていた。この感染ルートに加え、今回の研究では指が鼻の内部に直接触れることによっても肺炎球菌が繁殖することがわかったそうだ。

鼻をほじっている本人以外にも、周囲の人の健康に悪影響を及ぼしかねない。世界中で年間120万人の乳幼児の命を奪う肺炎球菌は、肺炎・敗血症・髄膜炎などを引き起こす強毒性を持っているだけに、鼻ほじりは公衆衛生の観点から見てもNGだ。

 

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成人の男女40人が参加したリバプール熱帯医学研究所の実験では、様々な状況下で肺炎球菌の感染ルートを検証した。10人ずつの4グループに分かれ、そのうち2グループは乾いた指先と手の甲に、ほかの2グループは濡れた指先と手の甲に肺炎球菌を植え付けられた状態で鼻をほじる、鼻を手の甲に近づけて嗅ぐなどした。

9日後、濡れた指先を鼻の中に突っ込んで鼻ほじりを再現したグループのうち4名が肺炎球菌に感染したことが判明した。乾いた指先を鼻の中に突っ込んだグループでも1名が感染したそうだ。

濡れた手の甲に菌を植えつけられたグループでも、3名が肺炎球菌に感染した。感染率は全体的に20%だった。

 

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この研究から、肺炎球菌の新たな感染ルートが「手」であること、しかも濡れている場合はさらに感染率が高まることがわかった。実験に参加した被験者たちはもちろん正式に承諾書を交わした成人のみだったが、これが子どもの手で行われたとしてもおそらく同じ結果になるのではないだろうか。

じつは、Healioによれば子どもは肺炎球菌の「キャリア」であることが高いそうだ。鼻の中に肺炎球菌が常在していることで、幼少時に免疫力を高めて後に大人になった時に感染する確率を低めるという。

その子どもたちが鼻をほじってから手を洗わずにオモチャに触れ、そのオモチャをつかんで片づけた大人が自分でも鼻をほじってしまったら……。

感染を防ぐには、子どもも大人も手洗いを習慣化する必要があるほか、オモチャなど子どもの手につきそうなものは定期的に消毒するのも効果的だそうだ。特に年配の方や療養中で免疫が低下している人に接する場合は注意が必要だと研究者たちは強調している。

この研究の成果は、学術誌「European Respiratory Journal」の10月10日オンライン版にて発表された。

 

山田 ちとら

*Discovery認定コントリビューター

日英バイリンガルライター。主に自然科学系の記事を執筆するかたわら、幅広いテーマの取材やインタビューにも挑戦中。根っからの植物好き。マスクのありがたみを改めて感じる日々。 https://chitrayamada.com/