スカイダイビングでパラシュートが開かなかったら…生存事例から学ぶ生き残る術

スカイダイビングなどのスポーツの浸透で一般の人でも体験できるようになったパラシュート。

18世紀以来、パラシュートの歴史は数々の輝かしい成功とその陰にある事故とともに歩んできた。現在でも、ひょんなことからパラシュートが開かなくなる事故が発生している。もし、あなたが高高度から落下中にパラシュートが開かなくなってしまったら、どうすれば生き残ることができるだろうか。

 

実際に生き残った人々

ギネスブックに登録されている、パラシュートなしで最も高い場所から落下して生存した人間は、セルビア人のヴェスナ・ヴィロヴィッチである。1972年、当時22歳だったヴェスナはJATユーゴスラビア航空(現エア・セルビア)の客室乗務員だった。1月26日、爆弾テロによってヴェスナが乗っていた旅客機は高度1万メートル以上を飛行中に爆破された。

爆破された飛行機の同型機 Credit: Creative Commons

飛行機は空中分解し、ヴェスナは飛行機の残骸とともに1万メートルの高さから自由落下で地上へと叩きつけられた。だが、ヴェスナが発見された際、重症は負っていたものの生存していた。後の調査から、落ちた場所が森林地帯で、木々や地形が奇跡的に衝撃を吸収してくれたことが生存に繋がったのだと推測されている。また、地上で墜落した飛行機の残骸の中からヴェスナを助け出した人物が、第二次大戦中に医師として働いていたブルーノ・ヘンクだったことも幸いした。

ヴェスナは、この事件で生き残った唯一の人物である。

 

ブラックベリーの茂みがクッションに

2006年にジャージー島のスカイダイバー、マイケル・ホームズは、約3000メートルからダイブ中にメインと予備の両方のパラシュートが動作しなくなった。そのまま地面へと落下したが、ブラックベリーの茂みが衝撃を吸収し、マイケルは九死に一生を得た。

 

雪が衝撃を吸収

2009年にドキュメンタリーのカメラマンだったジェームス・ブールは、1800メートルの高さからロシアのカムチャツカでスカイダイバーを撮影するため、自身もスカイダイビングをしながらカメラを回していた。地上が近づく中でパラシュートを展開しようとしたが、動作せず、ジェームズは背中から雪の上に落ちた。雪がクッションとなり、背骨の骨折と治療可能な内臓のダメージはあったものの助かった。

 

パラシュート殺人未遂事件

2015年には、パラシュートに細工し、スカイダイバーの妻を殺害しようとした事件が起こっている。スカイダイビングのインストラクターであったヴィクトリア・シラーズは、ストーンヘンジで有名な英ソールズベリー平野でおよそ1200メートルからダイビングをしていた。だが、夫のエミールは、ヴィクトリアを殺害するためにパラシュートが動作しないように細工を加えていた。そのまま地上へと落下してしまったヴィクトリアだが、落ちた場所が耕されたばかりの畑だった。柔らかい土がクッションとなり、脊髄や足などを骨折したがビクトリアは助かった。

 

パラシュートが開かなかった場合にどうすればいいか

奇跡的に生き延びた人たちの多くは、木々や茂み、雪の上など、衝撃を吸収してくれる場所へ落下して一命を取り留めている。もしあなたがスカイダイビング中にパラシュートが開かなくなったら、諦めずに目を凝らし、ショックを和らげてくれそうな場所を探すことが生き残る術となるだろう。

Credit: Creative Commons

高高度から海や湖に落下した際の衝撃も激しく、人体に与えるダメージはかなりのものだ。だが、ディスカバリーチャンネルの検証では、180メートルの高さから落ちた場合にアスファルトに比べれば水面に落ちた方がはるかに軽傷ですむことを実証している。緊急時には、硬い地面よりは湖や海へと落ちた方が生存率は上がりそうだ。