キウイなど果物にも性別が!男女はどうやって決まる?

柿やキウイ、パパイヤ等植物にも性別が存在する。

では一体どのようにしてその性別は決定されるのだろうか? その謎を解く鍵は果物のY染色体に隠された新たな遺伝子であった。

 

植物の性別とは

植物(種子植物)の70%以上は、雄しべと雌しべを同一個体に有する、すなわち雄と雌の機能を持ち合わせる両全性であることが知られている。

一方でマイノリティーではあるが5%程度は雄花と雌花、すなわち雄と雌の機能が独立していることも知られており、XY染色体が関与する予測はされていたが、性別を決定する遺伝子については長年闇に包まれていた。

チューリップの雌しべと雄しべ Credit:Creative Commons

 

どのように性別は決まるのか?

そもそも、性別はどのように決定されるのか。

ヒトの性別にはX染色体とY染色体が関与し、XXは女性、XYは男性であることが知られている。ではXが複数あることが女性となる必須条件なのだろうか?

ターナー症候群という疾患の患者はX染色体を1本のみしか有さないが、性別は女性である。一方クラインフェルター症候群の患者はX染色体を2本、Y染色体を1本計3本の性染色体を有し、性別は男性である。すなわちヒトは基本的に女性であり、Y染色体が男性化を誘導すると考えられている。

実はヒトの場合、Y染色体の遺伝子が作り出すタンパク質が、男性化を引き起こす遺伝子を調整することで性別が決定しているのだ。

Credit:Creative Commons

 

OGI(雄木)とMeGI(雌木)遺伝子がカキの性別を決定する

植物もXY染色体にある遺伝子により性別が決定されると予測されてきたが、雄と雌が区別される植物の大半は成長までに年単位での時間を必要とするために研究は困難であった。

しかしながら近年の遺伝子解析を駆使し、2014年に京都大学の田尾龍太郎氏と赤木剛士氏により なんと桃栗三年柿8年とまで言われる柿から植物で初めて、性別を決定する遺伝子OGI(雄木)とMeGI(雌木)が発見されたのだ。

研究により、MeGIとOGIの遺伝子は柿のY染色体に存在し、MeGIは雄器官の生育を阻害して、雌化を引き起こすことが明らかとなった。また、OGIが雌化の機能をもつMeGIを分解し機能を阻害することで雄化を誘導していることが示された。

Credit:Creative Commons

 

Shy Girl遺伝子がキウイの性別を決定する

さらに2018年に京都大学の赤木剛士氏、田尾龍太郎氏と香川大学の片岡郁雄氏らのグループにより、キウイの性別決定遺伝子Shy Girlが新たに発見された。キウイの発見は柿、アスパラガスに続く植物で3番目の発見である。

キウイでは植物ホルモンであるサイトカイニンが雌しべの形成を促進する。実際に雄しべをこのホルモンで処理することで半雌化することが本研究で示されている。

キウイの性別決定遺伝子であるShy GirlはY染色体に存在し、植物ホルモンであるサイトカイニンを抑制することで、雄化を引き起こすのだ。

柿(カキ属)とキウイ(マタタビ属)は同じツツジ目であり、分類学でも比較的近い存在であることから、今回の発見は植物の性別獲得の進化を探る鍵となることが期待されている。

なお、Shy Girlの略称であるSyGIはカキの性決定遺伝子であるOGI/MeGIと韻を合わせたとのことである。

Credit:Creative Commons

ヒトでも植物でも、目に見えない遺伝子達がせめぎ合い男女を決めているというのはなんとも不思議で興味深い話である。

我々が思っている以上に男女の違いは不明確なものなのかもしれない。

 

池田あやか

*Discovery認定コントリビューター

科学・アート好きの薬剤師。大学では主に超分子化学を専攻。科学の面白さを伝えようと、仕事の傍見て楽しい・触って楽しい科学イベントやサイエンスライターをしている。最近のお気に入りはモルフォ蝶の羽の構造色を利用したピアス。