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あなたの心に隠された邪悪な性格特性はどれぐらい?悪の統合理論「ダークファクター」を提起、欧研究

心の奥深くに隠れている暗い、邪悪な衝動を暴くアンケートがあると知ったら、あなたは受けてみたいだろうか?

コペンハーゲン大学のゼットラー教授(心理学)ほか2名の科学者たちが研究のために開発した「ダークファクター」アンケートは、まさにそれ。あなたの心がどれほど邪悪なのかを示すダークファクター度以外にも、九つの邪悪な性格特性をどれぐらい持ち合わせているかを個別に判定する。

九つの邪悪な性格特性とは…

  • ナルシシズム(過剰な自己中心性)
  • マキアベリズム(自分の目的を達成するために他人を利用する傾向)
  • サイコパシー(反社会的な無神経さ)
  • エゴイズム(自分の利益や業績を重んじる傾向)
  • 道徳的乖離(倫理的な規範は自分に当てはまらないと思う傾向)
  • 心理的特権(他人よりも自分は特別であるという意識)
  • サディズム(他人を傷つけることに喜びを感じる傾向)
  • 悪意(復讐を望む傾向)
  • 利己主義

アンケートはオンライン上で誰でも受けられるようになっているが、現時点では英語バージョンのみ。簡易版は30項目、詳細版は60項目、さらに自分の誠実さ・謙虚さ度を知りたいという人には90項目のアンケートが用意されている。所用時間は5分から20分ほどだ。

結果はDスコア(ダークファクター度)として集計され、1(とても低い)から5(とても高い)で示される。また、今までアンケートを受けた総人数中の相対的なDスコアランキングも示される。どちらのスコアも低ければ低いほど、あなたは善意に満ちた天使のような存在だということになる。

これまで累計84,242人(2018年10月18日現在)がアンケートに協力し、自分の心の暗い部分と向き合ってきた。この調査によって、ゼットラー教授らはどんな結論を導き出したのだろうか。

 

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悪の統合理論

学術誌Psychological Reviewに掲載されたゼットラー教授らの論文によれば、上記の九つの邪悪な性格特性は、すべて「ダークコア」と呼ばれる核から派生しているそうだ。

倫理的に、道徳的に、または社会的に道を外した行動を前にして、心理学者はこれまでにも異常心理学の観点から様々な性格特性を論じてきた。ナルシシズムやサイコパシーなどはその一例だ。研究が進むとともに、それらの性格特性の種類は増え続けているが、お互いの関連性は今まであまり論じられてこなかった。

そこで、悪意のある性格特性を包括的に論じたのが「ダークコア」だ。ナルシシズムやサイコパシーは、ダークコアがそれぞれちょっと違うかたちで顕現化されたに過ぎないと主張している。

ゼットラー教授は、今回のアンケート調査から、ダークコアが存在する証拠をいくつか見出したと報告している。ひとつは、Dスコアをもとに、その人の性格特性のスコアについても高い正確度で予測できること。たとえば、マキアベリズムに関する設問をアンケートからすべて取り除いてしまっても、マキアベリズムのスコアはさほど変わらなかったそうだ。また、特性と特性同士の関連性も認められた。

 

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ダークファクターは、人間の知能を測る「Gファクター(general intelligence factor)」と類似しているコンセプトだ。空間認識能力に長けている人は、数学が得意な傾向にある…というように、異なる知能テストの結果が連動することが知られている。

様々な知能テストの結果をもとに割り出されたGファクターは、高ければ高いほど、順風満帆な人生を示唆しているという。では、Dファクター度、つまりDスコアが高いと、どんな人生が待ち受けているのだろうか。

 

サバイバルモード?

ところで、冒頭に挙げた九つの邪悪な性格特性は、サバイバルと関連しているものも多い。

終末を迎えて、もはや自分と自分に親しい者たちの生存のみを優先するような状況に陥った場合、エゴイズム(自分の利益を重んじる傾向)やマキアベリズム(自分の目的を達成するために他人を利用する傾向)はやむを得ない手段かもしれない。

そういう意味において、ダークコアとは、人間の存在に不可欠なのだろうか。自己を優先して生存競争に打ち勝つ本能と、またそれとは相反して社会的な規範を重んじる理性。そのはざまで揺れる人間性は、つかみどころがないけれど、果てしなく興味深い。

 

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山田 ちとら

*Discovery認定コントリビューター

日英バイリンガルライター。主に自然科学系の記事を執筆するかたわら、幅広いテーマの取材やインタビューにも挑戦中。根っからの植物好き。Dスコアは意外と低め。 https://chitrayamada.com/

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