暑いと人は凶暴化するのか…気温と殺人の不思議な関係

アメリカにおける殺人件数が、2015年から増大している。この理由ははっきりとわかっていないものの、ひとつの要因として考えられているのが気温との関連性だ。2015年から2017年の3年間は、例年に比べて気温が高かったというデータがあるのだ。

 

2015年から殺人件数と気温がアップ

アメリカFBIのデータによると、全米で起きた殺人事件の件数は次のとおりだ。

2013年 14,249件
2014年 14,319件
2015年 15,883件
2016年 17,250件
2017年 17,248件

2014年までは年間の殺人事件件数は14,000件台だったが、2015年から大幅に増えていることがわかる。

これと合わせて、アメリカの年間の平均気温について比べてみると次のようになる。

2013年 52.4°F (11.3℃)
2014年 52.6°F (11.4℃)
2015年 54.4°F (12.4℃)
2016年 54.9°F (12.7℃)
2017年 54.6°F (12.6℃)

2015年以降の平均気温が、2014年以前に比べて1度以上も高くなっている。アメリカ海洋大気庁の1985年からの記録の中でも、2016年は2番目に高い気温で、2017年は3番目に高い記録となっている。

Credit:Creative Commons

 

暑いと銃による被害者が増える傾向

気温と殺人件数の因果関係は、銃による被害者数にも表れている。

たとえばフィラデルフィアでは、気温が低い日の1日あたりの銃による被害者数は2.6人だが、暑い日になると4.4人に増える。デトロイトでは低い日は2.0人なのに暑い日は3.5人、という具合に、多くの都市で気温が高い方が被害者数が増える傾向にあるのだ。

またフィラデルフィアでおきた銃事件について、発生場所を気温別に見てみると、気温が高くなるほど屋外でおきる件数が増えていることがわかる。気温が高くなると人は外に行く傾向が高くなると言えるようだ。

もちろん、もっと気温が高くなれば、冷房のきいた屋外に人々はとどまりたくなると予想でき、気温だけが殺人などの凶悪犯罪の増加を引き起こしている原因とは言えない。

だが、アメリカでの銃による無差別殺傷事件の増加と、地球規模で起きている温暖化と気候変化については、今後も世界が注目していくことになることだろう。

 

Makiko Sato*Discovery認定コントリビューター

雑誌編集者や広告のプランナー、コピーライターとして長年経験を積み、フリーランスのプランナー、エディターとして活動中。

関連リンク
Crime in the United States (FBI)
National Climate Report (NOAA)
A Rise in Murder? Let’s Talk About the Weather (NY Times)