音速乗り物「ハイパーループ」で、移動手段が一変する?

時速1200kmという従来の概念を覆す、未来の交通手段「ハイパーループ」。

乗り物や路線などはまだ実験段階だが、いずれ我々の交通手段を一変させることになるかもしれない。

その原理の詳細や、最新の進歩状況を追ってみよう。

 

チューブ内を高速移動する乗り物

Image Credit: Hyperloop TT

ハイパーループのシステムは、鉄道の車両のような乗り物と、まるでSF映画から飛び出してきたような「チューブ」から成り立っている。

チューブの内部は減圧され、乗り物は空気抵抗をほぼ受けることなく移動する。これにより、時速1200kmというスピードが実現できるのだ。なお、これは上空を飛行するジェット旅客機をも上回る。

また、乗り物の駆動手段としては磁力による推進システムが予定されている。これは磁石とコイルの力で乗り物を浮上させ前進させるという、「超電導リニア(リニアモーターカー)」にも近いシステムだ。

 

イーロン・マスク氏の発案からスタート

Image Credit: Virgin Hyperloop One

 

ハイパーループの計画を発案したのは、宇宙開発企業の米スペースXや電気自動車の米テスラを率いるイーロン・マスク氏だ。彼の発案の元、現在は米ヴァージン・ハイパーループ・ワンと米ハイパーループ・トランスポーテーション・テクノロジーズが開発を進めている。

上の画像は、ヴァージン・ハイパーループ・ワンが開発を進める「ポッド」と呼ばれる乗り物だ。同社は定期的にポッドのコンペティション(競争)イベントを実施しており、今年7月には時速466kmを計測した。

ヴァージン・ハイパーループ・ワンはラスベガスの実物大コースで実験を繰り返しながら、カリフォルニア州やドバイ、さらにはインドでの路線建設を予定している。またハイパーループ・トランスポーテーション・テクノロジーズも中国進出を予定している。

 

解決しなければならない問題

Image Credit: Virgin Hyper Loop

ただし、ハイパーループが実現に近いかといえば、そうは言い切れない。

もし実際に1200km/hという速度で運行するとすれば、加減速や乗客への負担低減という観点から、路線はかなり直線的なものとなるだろう。

また真空に近いチューブから乗客が乗り降りするための「エアロック」のシステム、あるいは乗り物やチューブの安全性も、十二分に確保する必要がある。

従来の乗り物とは異なる発想から誕生した、ハイパーループ。今後もその進化を注意深く見守る必要があるだろう。

塚本直樹

*Discovery認定コントリビューター

IT・宇宙・ドローンジャーナリスト/翻訳ライター。フリーランスとしてドイツを中心にヨーロッパにて活動しつつ、日本でのラジオ出演やテレビ、雑誌での解説も。 @tsukamoto_naoki