JAXAの小惑星探査機「はやぶさ2」から2018年9月と10月、合計3機の探査機が投下された。
探査機ははやぶさ2に先立ち、小惑星「リュウグウ」の素性を確認する。
3機の探査機はどのようにして、彼方の小惑星の姿をとらえるのだろうか?
日本の得意芸となった小惑星探査

はやぶさ2の名称が示すとおり、この探査機はJAXAの探査機「はやぶさ」の後継機となる。世界で初めて小惑星「イトカワ」からサンプルを地球に持ち帰ったはやぶさの活躍を、今でも覚えている人も多いだろう。
そしてはやぶさ2は、地球と火星の間を約1年4ヶ月の公転周期で周回する小惑星「リュウグウ」を探査し、サンプルを持ち帰る。リュウグウは直径が900メートルほどの天体で、コマのように中央が張り出した形状をしている。
はやぶさ2はこのリュウグウに2kgほどの銅の弾丸を打ち込み、クレーターを作成。そしてサンプルを採取し、地球に持ち帰るのだ。このような小惑星は太陽系生成時のままの姿である可能性があり、観測からは太陽系の成り立ちのヒントが得られると期待されているのだ。
2機の探査機はジャンプして移動!?

しかしはやぶさの探査計画は、自身によるサンプル採取だけではない。9月21日には搭載されていた2機セットのローバー(着陸機)「MINERVA-II1」が分離され、約1週間後にリュウグウへと着陸した。
JAXAが開発したMINERVA-II-1はまるで「おひつ」のような形の正十六角形のローバーで、直径18cmで高さ7cm。そして搭載されたカメラでリュウグウの姿を撮影し、はやぶさと通信しながら送信する。
さらに、MINERVA-II-1は「ホッピング(ジャンプ)」しながら小惑星を移動する。これは小惑星の重力が非常に小さいため、タイヤでは地面をグリップできないためだ。本記事最上段はMINERVA-II-1によって撮影された画像だが、リュウグウのゴツゴツした表面がよく捉えられている。
箱型のランダーで詳細解析

さらに10月には、CNES(フランス国立宇宙研究センター)とDLR(ドイツ航空宇宙センター)が開発したランダー「MASCOT(マスコット)」もはやぶさ2から投下され、リュウグウへと着陸している。
こちらはカメラだけでなく、分光顕微鏡や熱放射計、磁力計などさまざまな観測機器を搭載。そしてリュウグウの土壌に「水を含む鉱物」が存在するかを探査するのだ。
なお、リュウグウは岩石に炭素などの有機物を多く含む「C型小惑星」である。もしそこに水が存在していたとすれば、有機物と水は生命にとって不可欠であることから、地球における生命誕生の起源が解き明かせるかもしれないのだ。
塚本直樹
*Discovery認定コントリビューター
IT・宇宙・ドローンジャーナリスト/翻訳ライター。フリーランスとしてドイツを中心にヨーロッパにて活動しつつ、日本でのラジオ出演やテレビ、雑誌での解説も。 @tsukamoto_naoki