10月11日は「ナショナル・カミングアウト・デー」で、LGBTなどの人々の存在を世に訴え、彼らのために制定された日だ。この日の始まりと、アメリカの現状について紹介しよう。
31年前の50万人が参加した大規模デモが始まり
「ナショナル・カミングアウト・デー」の始まりは、1987年に遡る。1987年10月11日、アメリカ、ワシントンDCにLGBTの人々が集まり、「レズビアンとゲイの権利のためのワシントンマーチ(March on Washington for Lesbian and Gay Rights)」が行われたのだ。
数多くのLGBTなどの団体が参加し、このデモに集まった人々は50万人にも及び、アメリカのメディアもこぞってこのイベントを記事に取り上げた。
さらに、このデモが終わった後も、ワシントン以外のアメリカ各地で同様のイベントが開かれ、この一大ムーブメントは約4ヶ月にもわたって続いた。
そして、アメリカの心理学者、ロバート・アイヒベルクとLGBT活動家のジーン・オリーリによって、10月11日を「ナショナル・カミングアウト・デー」にすることが1988年に制定された。

ティーンのLGBTなどの実情は?
米国の人権団体ヒューマン・ライツ・キャンペーン財団が13~17歳のLGBT10,000人以上に行った調査結果から、若いLGBTなどの現状を紹介しよう。
91%が周囲にカミングアウトしている
自分がLGBTなどであることをカミングアウトした相手で、最も多いのは以下の通りだ。
・親しい友人 91%
・クラスメイト 64%
・学校で 61%
・家族 56%
・先生 38%
カミングアウトしていない人の理由は?
カミングアウトしていない人にその理由を聞いたところ、以下の理由が多く挙げられた。
・受け入れられないから・ホモ・バイセクシャル等への恐怖症があるから 30%
・相手の反応が怖いから 19%
・カミングアウトできる準備ができていないから 10%
カミングアウトした人の方が幸福度が高い?
家族へカミングアウトした人としていない人で、現在幸せかどうか聞いたところ、カミングアウトした人の方が「幸せ」な人の割合が多い結果だった。
・カミングアウトした人のうち、「幸せ」と答えた人 41%
・カミングアウトしていない人のうち、「幸せ」と答えた人 33%
LGBTなどのカミングアウトが、比較的に積極的に行われていると思われるアメリカ。2018年の「ナショナル・カミングアウト・デー」も盛大に人々に迎えられることだろう。
Makiko Sato*Discovery認定コントリビューター
雑誌編集者や広告のプランナー、コピーライターとして長年経験を積み、フリーランスのプランナー、エディターとして活動中。
関連リンク
The History of Coming Out (The Human Rights Campaign)
National Coming Out Day Youth Report (The Human Rights Campaign)