コーヒーを運んでいると、カップの中で波打ちカップからこぼれ…急いで水道を探す羽目になったという経験はないだろうか?
誰もが一度は経験するこの悩み。実は、コーヒーをこぼさない運び方について研究が行われているのだ。
なぜコーヒーは溢れるのか?
物体には個々に最も揺れやすい振動が決まっている。ブランコの揺れが、漕ぐたびに大きくなることを想像すると分かりやすいかもしれない。コーヒーを運ぶ際に、人の動き・カップの揺れがコーヒーに伝わり、この最も揺れやすい振動に近づくことで、コーヒーは大きく波打ちカップから溢れ出すのだ。

コーヒーをこぼさない方法とは?
ではどうすればコーヒーはこぼれないのだろうか。
最も揺れやすい振動にならなければ、カップ内のコーヒーは大きく波打つことはなく、溢れる心配もない。
Jiwon Han氏は”A Study on the Coffee Spilling Phenomena in the Low Impulse Regime”という論文中で2つの方法を提案している。
1. コーヒーを持ち後ろ向きに歩く
人は後ろ向きに歩くことに慣れていないため、前向きと比べ左右への揺れが大きくなる。そのために、コーヒーに伝わる振動が通常と異なり、コーヒーの波打ちが生じにくくなるというのだ。
ただしこの方法は、後方の棚や人にぶつかりコーヒーを確実にこぼす羽目になる可能性が高くお勧めできない。

2. コーヒーカップを上から掴む様にもつ
論文でclaw-hand posture(爪-手姿勢)と呼ばれるこの持ち方。
通常のカップの取っ手や側面を抱える持ち方と異なり、後ろ歩きと同様に振動が大きくなるのを防ぐことができるというのだ。
ホットコーヒーが欲しくなるこの季節
claw-hand postureを試してみる良い時期かもしれない。

池田あやか
*Discovery認定コントリビューター
科学・アート好きの薬剤師。大学では主に超分子化学を専攻。科学の面白さを伝えようと、仕事の傍見て楽しい・触って楽しい科学イベントやサイエンスライターをしている。最近のお気に入りはモルフォ蝶の羽の構造色を利用したピアス。