アリエナクナイ科学ノ教科書:第3回 異世界の物理法則

  • 派手なバトルに耐えられるヒューマノイド設定パターン

派手なアクションをしてもOKで、撃たれ強く、命をかけた迫真のバトル展開ができる。そんなヒューマノイドの設定は大きく分けて3種類くらいではないでしょうか。

1)人間ではない/強化装備がある

まず一番多い設定のそもそも人間ではないというパターン。また、特殊なSF設定で人体そのものを異質なレベルで強化しているという設定のものも同一といえます。

日本の漫画からハリウッド映画に至るまで増えてきた、いわば最近のトレンドといえます。

彼らは人間に似ているけど、吸血鬼や喰人鬼なんだ、非人間の存在なんだ・・・で十分人間ではないので、人間の物理強度を守る必要はありません。また突然変異の特異な人間なんだ、魔法やエネルギーシールド的なもので体を薄く守っている、ナノマシンで強化・・・どんな設定でも1つあれば十分です。

種自体がフィクションである場合は、体を貫こうが、銃撃に遭おうが、どうしても構いません。ただうっかりするとただの丈夫な無敵キャラになってしまうので、致命的な弱点が付与されている場合が多いといえます。
SF的強化人間といえば、DNA移植(テラフォーマーズ、スパイダーマン等)、機械化(ロボコップ、銃夢など)、強化スーツ(GANTZ、ORIGIN、攻殻機動隊など)、ナノマシン(メタルギアソリッドなど)枚挙にいとまがありませんね。

それらの強化パターンについては、また回を改めて個別に解説していきましょう。

そうした作品では人間の脆さがある程度そのままで、その上で強いキャラクターを立てて、アクションはそういったキャラクターに任せるというパターンです。ただリアリティに重きを置いた世界や、そうした超設定を増やせない作品では使えません。そうした作品では銃撃戦ではむやみに被弾しないようなリアルな銃撃戦、ややもすれば地味な攻防をしっかりとした調査の上で表現する必要が出てきます。

近年の作品は、この部分を逆にきっちりと取材し調べ、監修者までついて、ドラマへ昇華させていることもあるので、地味だから面白くないというわけではありませんネ。

2)人間に似てるけど全然違う種類である

映画「アバター」で描かれる原住民は、我々の2、3倍の体躯で、地球の生物には無い特殊な組織構造を持ち極めて頑丈なボディを持っているという設定です。故に人間の作った重機と渡り合っても説得力があります。

また、見た目が人間だからといって人間であるとは限りません。映画スターウォーズの世界は、遙か未来の話のはずですが、そもそもオープニングで「A long time ago,in a galaxy(遠い昔。遥か彼方の銀河系で)」と記されています。故に人間のように見えても、彼らはぜんぜん別種の人類であるかもしれないわけです。

また惑星が違えば、その世界に適応したりした結果、可憐な少女であっても、地球においてはグリズリーを片手でひねるくらい強いかもしれません。そうした世界であれば、地球人類の法則をそのまま当てはめる必要がそもそもありません。

3)物理設定から違う世界である

こちらは最もハイファンタジーなものです。そもそも物理設定から違う世界である場合です。

例えば、漫画ワンピース、ドラゴンボールなどでは、そもそも描かれている地球、現代の世界自体が、明らかに我々の知っている世界とは平然と異なっています。
世界観自体が根本的にハイファンタジーであれば、そもそも我々の地球の人類の物理限界を適用する必要はありません。

以上、ざっくりとしたフィクションのお作法的な感じでまとめてみました。

1と2に関しては、今後細かく解説していきましょう!

 

(イメージイラスト:夢路キリコ http://www.yumejikiriko.com/)

 

くられ

*Discovery認定コントリビューター

サイエンスライター、Youtuber、大学講師第など幅広く活躍。「アリエナクナイ科学ノ教科書」(ソシム)日本SF大会主催 49回 星雲賞ノンフィクションを受賞。近著は化学の生化学の入門を楽しいキャラで学べる「毒物ずかん」(化学同人)、アリエナイ理科ノ大事典(三才ブックス)薬理凶室名義 などがある。現在週刊少年ジャンプ連載中の「Dr.STONE」では科学監修を務める。

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