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知ってそうで知らなかった!ネコが喉を鳴らす4つの理由

飼い猫の喉あたりをコチョコチョすると、ほとんどの場合ゴロゴロと気持ちよさそうな音をたて始めるのは周知の通り。

「うれしいんだな」「心地良いんだな」

と解釈しがちだが、じつはそれだけではないらしい。

ネコのゴロゴロはもっと複雑なコミュニケーション手段だということが、最近の研究からわかりつつある。「うれしい」はもちろんのこと、母子間のボンディングを強化したり、欲求を満たしたり、なんとネコの体を癒し、昂った気持ちをなだめる効果まであるという、驚きの行動らしいのだ。

 

4つの意味

ロンドンで猫写真家・インスタグラマーとして活動しながら、ネコの心理学を学んでいるマルジャン・デベベール(Marjan Debevere)さんがBBCに語ったところによれば、ネコの行動やコミュニケーションについての研究は乏しく、イヌに比べて遅れているという。

それでも、この20年ほどでわかってきたのは、ゴロゴロ喉を鳴らす行為は、①嬉しさ・安心感、②イライラ感・緊張感、③恐れ、そして④ストレスを表しているということだ。

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音の出し方

そもそも、どうやってゴロゴロという音を鳴らしているのかさえ、最近まではっきりわかっていなかった。

以前は下大静脈をめぐる血流が音を出していると考えられていたが、新説はネコにしか見られない特殊なニューラル発振器に注目。ニューラル発振器が脳内でシグナルを出すと、咽頭を動かす筋肉の筋が刺激され、収縮と拡張を繰り返す。その運動により、声帯のすきまに空いている声門が小さくなったり、大きくなったりしてまわりの空気の振動させるため、ネコが息を吸ったり吐いたりすると同時にあの「ゴロゴロ」という音が鳴るようだ。

ちなみに、すべてのネコ科の動物がゴロゴロできるわけではないらしい。アメリカ議会図書館のウェブサイトによれば、ヒョウ亜科に属するヒョウ、ユキヒョウ、ウンピョウ、ライオン、トラとジャガーは、その声帯の構造上、ゴロゴロできない代わりに吠えることができる。

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機能的なゴロゴロ

ネコによって、生まれつきゴロゴロしやすい子もいれば、そうでない子もいるが、すべてのネコは生後数日で喉を鳴らすことを覚える。これは、ネコが生まれてくる状態と大きく関係している。

生まれたばかりのネコは、目が見えず、耳も聞こえない。生後間もない頃は、母ネコが喉を鳴らす振動をたよりにお乳を探り当てるそうだ。生まれて数日経つと、子ネコもゴロゴロできるようになる。母ネコは、子ネコの居場所をそのゴロゴロの音で把握するという。母子間に不可欠なコミュニケーションツールと言っていいだろう。

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さらに、家ネコは2種類のゴロゴロ音を使い分けていることもわかってきている。普通の、いわゆる「うれしい」ゴロゴロと違い、「おねだり」ゴロゴロにはさらに高い周波数の音が混じるそうだ。たとえば、食事やおやつをねだる時のゴロゴロがこれに相当する。

高い周波数のゴロゴロは、母ネコからはぐれた子ネコの鳴き声、さらには人間の赤ちゃんの泣き声とも類似しているため、人間はつい敏感に反応してしまうそうだ。かなり戦略的なゴロゴロである。

 

ゴロゴロの治癒力

もうひとつ、ゴロゴロについて理論化されつつあるのは、その治癒機能だ。

ゴロゴロで生じる周波数は20Hz~150Hz。そのうち、25Hz~50Hzの振動は骨の細胞を再生し、強化するために効果的で、~100Hzの振動は肌などのやわらかい細胞組織を再生するのに効果的だという説がある。現に、人間の治療にも同じ周波数が使われているそうだ。

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ネコが出産時や、動物病院へ出かける際にゴロゴロ喉を鳴らしたりするのは、ストレスを軽減させるためだと考えられる。そして寝ながらゴロゴロと喉を鳴らしているネコは、単に嬉しいだけではなく、自己治癒力を発揮しているとも考えられるそうだ。

ロンドンのデベベールさんによれば、動物保護シェルターで死にゆくネコや、安楽死させられるネコも、ゴロゴロと喉を鳴らしながら逝く子が多いという。決して嬉しいわけではなく、恐れやストレスを表現していると考えられる。

 

人間にも癒され効果が

このゴロゴロ、じつは人間にも大きな癒し効果を与えてくれることがわかってきている。

ネコがゴロゴロと喉を鳴らしている音は、波の音と同じようなリラックス作用があり、聴いている人のストレスを軽減するそうだ。BBCによれば、なんとネコを飼っているだけで心臓発作や心臓病のリスクが軽減されるという研究結果もあるのだとか…?

このような好ましい効果ゆえに、よりゴロゴロと喉を鳴らしやすい個体が選択されてきた結果、飼い猫のゴロゴロ音が発達してきたとも考えられるそうだ。

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ネコは、ゴロゴロのほかにも、「ミャ~オ」から「シャーーーッッ!!」まで、少なくとも16種類の独特な声色を持っているそうだ。ネコ語の更なる分析と理解が進めば、より人間のネコの仲も近くなれると大いに期待できそうだ。

 

山田ちとら

*Discovery認定コントリビューター

日英バイリンガルライター。主に自然科学系の記事を執筆するかたわら、幅広いテーマの取材とインタビューにも挑戦している。大学時代に断崖絶壁に咲く青いケシの花に憧れてネパールへ留学するも、ケシを見つけられないどころかトレッキング中トラブルばかりに見舞われて結局植物学から文化人類学へ転向。人間と自然の相互作用が研究テーマ。https://chitrayamada.com/

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