リトグラフ(石版画)の意外な歴史|世界のモノ作り

EXTREME-PHOTOGRAPHER/GettyImages

 

みなさんはリトグラフ(石版画)をご存知だろうか。リトグラフは文字通り版画なのだが、版面を削ったりせず、化学反応を用いて描画するのが大きな特徴の1つだ。発明したのは芸術家ではなく、ドイツ人劇作家のアロイス・ゼネフェルダーと呼ばれる人物。発明されたのは1798年のことで、当時の日本は江戸幕府第11代将軍徳川家斉が寛政の改革を行っていた頃の話だ。

 

俳優である父のもとに生まれ、戯曲を書いていたアロイスだったが、父の死によって一家を支える必要に迫られた。資金を捻出するために自身の書いた戯曲を印刷して販売しようとしたが、当時の印刷は高額で逆に借金を背負い込んでしまう事態となった。

 

そこでなんとか自力での印刷を模索していたアロイスに思わぬ幸運が訪れる。石灰岩の上に油性のクレヨンで書いた文字を硝酸で洗い落とそうとしたところ、痕が残ったままでその部分に油分が付き、それ以外の部分に水がしみ込む事に気がついたのだ。試しにインクをのせて紙を当てたところ、見事に印刷できていたのである。これを基礎にその後改良を加え、リトグラフが発明され、ヨーロッパ中に広まっていくこととなったのだった。

 

こうして生まれたリトグラフは200年以上経過した今日でも芸術方面でしっかりと息づいており、ルーブルの8つの美術部門のひとつとなっている。美術館で作品を見ることは勿論、リトグラフを体験できるような施設もあるようなので、気になる方はぜひ探してみてほしい。

 

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