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飛行機から湖めがけて魚を空中投下!ユタ州の大胆すぎる野生生物の管理のしかた

ここはアメリカ西部に位置するユタ州。ワサッチ山脈に抱かれた手つかずの大自然が広がっている……と、思いきや。

じつは、最近こんな映像が公開され、話題になっている。

 

湖面からゆっくりと上昇する飛行機の底から、水しぶきとともに散っていく三日月形の破片。よく見ると、尾びれを懸命にバタバタさせている個体もいる。これらはすべてカワマス、ヒメマス、グレーリング…。釣り客を喜ばせる淡水魚だ。

驚いたことに、ユタ州では200にもおよぶ人里離れた山間部の湖に、こうやって計画的に魚をエアードロップしているそうだ。映像は、ユタ州野生生物資源局が8月21日に行った空中投下の様子。Live Scienceの取材によれば、1956年から毎年行われてきたらしい。

こんな高さから湖面にたたきつけられたら、魚たちは死んでしまうのでは?と心配になるが、ユタ州野生生物資源局の広報担当、フィル・タトル氏によれば、放流される魚たちは全長8センチに満たない稚魚がほとんどのため、「木の葉のように」湖に安全着地するそうで、生存率は95%なんだとか。

山間部の湖に続く道路はなく、陸路では魚を運ぶのに時間がかかりすぎて魚たちにストレスを与えてしまうので、やむを得なくエアードロップしているそうなのだが…。魚たちからしてみたら、空中からばらまかれるのも相当のストレスになりそうだ。

エアードロップなしでは、これらの湖に魚は存在しない。つまり、自然の生態系にはもともと魚たちが組み込まれていないということ。そのため、在来種に与える影響を最小限に抑えるために、放流される魚たちはすべて不妊処置をほどこされているそうだ。

すべては、釣りを楽しむ観光客のために。

ちなみに、ユタ州野生生物資源局のフェイスブックページによれば、州内のコロブ貯水池にイエローパーチ、グリーンサンフィッシュと、ブルーギルの特定外来生物3種が確認されたため、貯水池の水をすべて抜いて、さらに殺魚剤のロテノンを使ってこれらを駆除したそうだ。

なんとも大胆なアメリカの生物の管理の仕方。どんなに手つかずな環境に見えても、人間の手はすでに及んでいる。

 

山田ちとら

*Discovery認定コントリビューター

日英バイリンガルライター。主に自然科学系の記事を執筆するかたわら、幅広いテーマの取材とインタビューにも挑戦している。大学時代に断崖絶壁に咲く青いケシの花に憧れてネパールへ留学するも、ケシを見つけられないどころかトレッキング中トラブルばかりに見舞われて結局植物学から文化人類学へ転向。人間と自然の相互作用が研究テーマ。https://chitrayamada.com/

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