【民間の力でISSへ】遅れる宇宙船開発、ISSに飛行士を輸送できない可能性も?

米スペースXと米ボーイングがNASAと進める、民間開発の宇宙船による宇宙飛行士の輸送計画。

しかし、両社の宇宙船開発は順調というわけではない。むしろ、今後のNASAの有人宇宙開発への支障が危惧されている。

現在2社の宇宙船開発になにが起きているのか、ここでは追ってみよう。

 

発表された宇宙飛行士

Image Credit: NASA

NASAは2018年8月、スペースXとボーイングの宇宙船に搭乗する9人の宇宙飛行士を発表した。

スペースXの宇宙船「クルー・ドラゴン」ではロバート・ベンケン飛行士とダグラス・ハーリー飛行士が2019年4月にテスト飛行を実施し、ビクター・グローバー飛行士とマイケル・ホプキンス飛行士が正式な輸送ミッションに関わる。

ボーイングの宇宙船「CST-100 スターライナー」ではエリック・ボー飛行士、ニコール・オーナプー・マン飛行士、クリストファー・ファーガソン飛行士が2019年半ばにテスト飛行を実施し、ジョシュ・カサダ飛行士、サニータ・ウィリアムズ飛行士が輸送ミッションに関わる。

クルー・ドラゴンは「ファルコン9」ロケットで、スターライナーは「アトラスV」ロケットで打ち上げられる予定だ。

 

繰り返されるスケジュールの遅延

Image Credit: スペースX

ところが、肝心の宇宙船の開発がうまくいっていない。これまでも米会計検査院がたびたび指摘していたが、上記の宇宙飛行士の発表とともに、宇宙船打ち上げ時期の遅延が正式に発表された。

現在の計画では、クルー・ドラゴンは2018年11月に無人での打ち上げを行い、スターライナーは2018年後半〜2019年前半に無人打ち上げを実施。その後に有人テスト打ち上げ、実際の輸送ミッションという流れになる。

しかし実際の輸送ミッションの前には、NASAによる宇宙船の最終認証プロセスの通過が必要となる。これらのプロセスをいつ頃頃終了できるのかは、現時点では不透明だ。

 

変化するNASAの宇宙開発方針

Image Credit: NASA

このまま2社の宇宙船開発が遅れると、NASAは国際宇宙ステーション(ISS)に宇宙飛行士を送れない時期が発生する可能性が出てくる。これを防ぐために、現在NASAはさまざまなプランを検討している。

一方、NASAは月周辺に打ち上げる宇宙基地「月軌道プラットフォームゲートウェイ」の建設と、2024年までの宇宙飛行士の派遣を検討している。こちらは月の有人探査や、火星などさらなる宇宙探査の足がかりとなる予定だ。

不透明な宇宙ステーションの今後の運用と、その先を見据えるNASA。現在の混乱は、宇宙開発の政府から民間への移譲の過渡期を象徴してるのかもしれない。

塚本直樹

*Discovery認定コントリビューター

IT・宇宙・ドローンジャーナリスト/翻訳ライター。フリーランスとしてドイツを中心にヨーロッパにて活動しつつ、日本でのラジオ出演やテレビ、雑誌での解説も。 @tsukamoto_naoki