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植物にも影響を与えるクラシック音楽… 芸術音楽はよりゆたかな人生を

9月4日は「ク(9)ラシ(4)ック」音楽の日。

1990年に一般社団法人日本クラシック音楽事業協会(当時は日本音楽マネージャー協会)が制定した、芸術の秋が深まるこの季節にこそぴったりの記念日だ。

クラシック音楽をふだんからよく聴いたり演奏したりする人も、あまりご縁がないという人も同様に、あらためてクラシック音楽の歴史やその恩恵に触れてみよう。

 

そもそも「クラシック音楽」とは

直訳すると「古典音楽」を意味するこの言葉は、じつは19世紀まで使われていなかったようだ。その頃、バッハやベートーヴェンの時代の音楽の価値が再評価され始め、当時のほかの音楽と区別するために使われ始めたと考えられている。

今ではクラシック音楽というと、16世紀半ばから19世紀終わりまでにヨーロッパで生まれたバロック音楽、古典派音楽、ロマン派音楽などを総称したジャンルと理解されている。「純音楽」、「芸術音楽」という意味合いで使われることもある。

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精密に計算されつくされた珠玉の音楽

クラシック音楽の発展をそれまでの音楽と大きく変えたのは、その記譜法だった。

ピアノ、バイオリン、フルート、クラリネットなどを習ったことがある人ならご存知のとおり、クラシック音楽の楽譜には演奏のテンポ、音調、音高(メロディーライン)、伴奏、リズムの取り方、音の強弱のほか、各楽章を演奏するときの感情表現までもが細かく記されている。作曲した人が演奏する人に明確な指示を出しているところは、まるで精巧なお芝居の台本のようだ。

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たとえば、多種多様な楽器が異なる音色を重ね合わせるオーケストラでは、管楽器、弦楽器など、各セクションに特別にしつらえられた楽譜が用意される。それぞれの音の魅力を最大限に活かすべく、ソロがちりばめられ、起承転結をいくつも連ねて壮大な音楽のうねりとなり、聴く者の心をとらえる。

また即興演奏やアドリブがしにくい反面、同じ楽譜を手渡されてこそ、そこに書かれた内容をどう表現するかによって個々の演奏家や指揮者のオリジナリティーが光る。

 

脳を快く刺激

クラシック音楽のこの複雑さと精密さとが、どうやら生物の発達にプラスの作用をもたらすようだ。

『アイネクライネナハトムジーク』などで有名なヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの音楽は、聴く者の脳を快く刺激してアルファ波を促進し、集中力を高めるとされ、その効果は「モーツァルト・エフェクト」と呼ばれて一時期アメリカの大学生の間で大流行した。

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また、アントニオ・ヴィヴァルディが1725年に発表した『四季』は、発表当時も大変な人気を誇り、今でもクラシック音楽を習う上で避けて通れないほどに定番化している楽曲なのだが、なんと動物たちにも好まれるらしい。2015年にグラスゴー大学の研究者たちがシェルターに保護された犬たちに『四季』を七日に渡って聞かせたところ、ストレスが軽減されたそうだ。

植物にクラシック音楽を聞かせると、生育が促進されるという話も聞く。筆者は温室内でクラシック音楽を流し、イチゴの成長を促す試みを行っている農家の方にお会いしたこともあり、その効果はどうやらお墨付きのようだ。

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今宵はコンサートホールへ

日本クラシック音楽事業協会によれば、クラシック音楽が日本に入ってきたのは鎖国が解かれ、明治政府が積極的に西洋文化を取り入れ始めた時代。それからおよそ150年が経った今、日本にはコンサートホールが立ち並び、世界に名を馳せる指揮者や交響楽団が今宵も美しい音楽を奏でている。

芸術の秋、今年はクラシック音楽鑑賞で優雅なひとときを過ごすのはいかがだろうか。華美なコンサートホールで非日常を味わうもよし、身近な公園で路上演奏するソリストに耳を傾けるもよし。音楽大学などの教育機関、また自治体が開催する無料のコンサートも数多い。やがて世界で活躍する日を夢見て、腕を磨き続けている若き演奏家たちを応援できるいい機会だ。

 

山田ちとら

*Discovery認定コントリビューター

日英バイリンガルライター。主に自然科学系の記事を執筆するかたわら、幅広いテーマの取材とインタビューにも挑戦している。大学時代に断崖絶壁に咲く青いケシの花に憧れてネパールへ留学するも、ケシを見つけられないどころかトレッキング中トラブルばかりに見舞われて結局植物学から文化人類学へ転向。人間と自然の相互作用が研究テーマ。https://chitrayamada.com/

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