米アップルは9月12日(現地時間)にイベントを開催すると発表した。イベントでは「新型iPhone」の発表が予測されている。
新型iPhoneではラインナップの整理以外にも、「デュアルSIM」機能の搭載が予測されている。
デュアルSIMの搭載によりどのようなメリットが期待されるのか、この記事では考察してみたい。
アジアで人気のデュアルSIMスマートフォン

デュアルSIM機能とは、その名のとおり携帯キャリアが提供する「SIMカード」を2枚挿入できるスマートフォンを意味する。SIMカードには電話番号などが書き込まれており、1台の端末で2つの番号が持てることになる。
これにより、例えばSIMカードの契約に応じて通話する番号とデータ通信をする番号を切り替えることができる。また、国境を頻繁に往復する使い方でも、SIMカードを入れ替える必要がなくなる。
このようなデュアルSIM機能を備えたスマートフォンはアジア市場、特に中国で人気となっている。
一部モデル、一部地域にて導入か

デュアルSIM機能だが、どうやらすべての新型iPhoneに搭載されるわけではなさそうだ。
アナリストのミンチー・クオ氏によれば、この機能は一部市場向けのものとなる。またサイズによっても、デュアルSIMだったり電子的な「eSIM」が採用されるなど、仕様が異なるようだ。
現時点では確実な情報はないが、この「一部市場」とは中国を意味している可能性が高い。またeSIMは「iPadシリーズ」に搭載済みで、こちらの実装も十分ありうるだろう。
市場開拓に余念がないアップル

アップルがこのように特定市場のシェアを獲得するために、デュアルSIMモデルを投入する可能性は十分にある。その証拠に、過去に同社は中国向けに通信規格を変更したiPhoneを販売した経歴があるのだ。
アップルはアジアを含む新興国でまだシェアを伸ばしきれていない。さらに、同地域には中国ベンダーという強力なライバルが存在する。そのような現状を打破するために、デュアルSIMを搭載した新型iPhoneが必要となることだろう。
塚本直樹
*Discovery認定コントリビューター
IT・宇宙・ドローンジャーナリスト/翻訳ライター。フリーランスとしてドイツを中心にヨーロッパにて活動しつつ、日本でのラジオ出演やテレビ、雑誌での解説も。 @tsukamoto_naoki