無人戦車に2足歩行メック…SF作品の描く戦争は目前に?

映画『ターミネーター』のような人型殺人ロボットが闊歩し、その横には巨大なメックが無人戦車を従え敵地に進み行き、空には無人ドローンが…そんな未来の戦争はもしかしたらすぐそこまで来ているのかもしれない。

軍事技術フォーラムに現れた大型二足歩行ロボ

8月21日から26日までモスクワ郊外で開催された国際軍事技術フォーラム「ARMY-2018」。そこでは世界14カ国からの1200以上の軍事技術関連の展示や、様々な兵器のデモンストレーションなどが行われた。

その中でもひときわ目を惹くのはなんと言っても、会場外にそびえ立つ4mの巨体。どことなく映画『エイリアン2』の終盤で活躍した「パワーローダー」を彷彿とさせるような出で立ちのこれは、AK-47自動小銃などの武器製造で知られるロシアの軍需企業Kalashnikov Concern社が展示する2足歩行ウォーカー「Igorek」だ。

フィンランドのIltalehtiではKalashnikov Concern社の社長であるウラジミール・ドミトリエフ(Vladimir Dmitriev)がこれを「ロボット」という呼称を用いて語っているものの、同報道ではIgorekは人が乗り込んで操縦するタイプのものとされている。なので映画『ロボコップ』に登場する自律性のある2足歩行ロボットED-209よりは、前述したパワーローダーなどのパワードスーツや、映画『スター・ウォーズ』シリーズのAT-STのように人が乗り込んで操縦するビークルに近いのかもしれない。

展示されているものは両手先にものが掴めそうな爪がついているが、武器は搭載されていない。コクピット部は防弾ガラスで防護されており、全長4mで重さは4.5トン。もちろん実際には歩けるとされるが、展示では特にIgorekが動く姿が見られるわけではなかったよう。またその性能や詳細も今回明かされることはなかったが、武器に関しては様々なものが装備可能であるとIltalehtiは伝えている。

未来は今?

Credit: Boevaya mashina, CC BY-SA 4.0

ボードゲーム『バトルテック』やそれを基にしたPCゲーム『メックウォーリア』に登場する人が搭乗して操作する無骨な二足歩行兵器「メック」ような出で立ちのIgorekが戦場を闊歩する未来は近いだろうか?

ロシアのメディアRTの報道でによるとIgorekはあくまでも「コンセプト」であるとのことだが、ロシアでは他にもSF作品中に描かれる戦場に登場しそうな兵器の開発がなされている。

例えばオペレーターが遠隔操作するUran-9無人戦闘車両。30mmの自動機関砲、対戦車ミサイル、サーモバリック弾頭ロケットランチャー、7.62mm同軸機銃などを搭載し、遠隔操作によりオペレーターを危険にさらすことなく偵察から戦闘までを行うというもの。Uran-9は今も続くシリア騒乱で実戦投入されているが、7月初めのBusiness Insider Nordicの報道によれば、主武装である30mm機関砲の発射に問題がある他、移動しながら発射できない、6km先の標的を補足できるはずが僅か約2km先の標的しか補足できず、遠隔操作も一時的に使えない症状がでるなど問題が多発し、思ったほどの成果は出せなかった。

そう聞くとなんだかほっとした気にならなくもないが、もちろん他にも様々な兵器が開発されている。例えばIgorekと同じくKalashinikov Concern社による偵察やパトロール、施設防御のための無人車両BAS-01G Soratnikというのもある。これには遠隔操作可能な機関銃や狙撃銃、擲弾発射器などを備えることができるリモートウェポンステーションを取り付けることが可能で、ロシアZALA AERO社の無人航空機と共に運用することも可能となっている。Expressによれば今年1月には「実戦に近い環境」で同車両がテストされたとのことだ。

人型ロボットとしては、2丁拳銃を撃つことで知られるロボットプラットフォーム「FEDOR」も有名だ。FEDORは当初は救助活動用として開発が始まった人型ロボットであり、2019年には同ロボットがISSに送られるとの話も聞こえる。拳銃を撃つデモンストレーションの様子を収めた動画で有名になったFEDORだが、これは実戦で使われたことはなく、当時のロシア連邦政府副首相も「我々はターミネーターを作っているわけではない」と語っているが…。

タンゴを踊るには二人必要…

Credit: Tactical Technology Office, Defense Advanced Research Projects Agency, U.S. Department of Defense, Public Domain

もちろんこのような「未来の戦争」に向けて開発をするのはロシアだけではない。アメリカは2000年代より無人爆撃機を戦場で使用している。ある意味そのような無人ドローン航空機はもはやSFの世界のものでなくなったと言えよう。

他にもアメリカでは地形を自動認識して自動走行が可能なCrusherという無人戦闘車両が2000年代に開発されていたし、小型の遠隔操作偵察戦闘ロボットFoster-Miller TALONや、兵士が着用することでより速く強く動けるという外骨格スーツXOS 2、自律的に移動可能な四足歩行ロボットBig DogやLegged Squad Support Systemなどなど、中には開発が凍結されたものもあるが様々な次世代の戦争の道具達が作られている。

戦争の火種には事欠かない人類ではあるが、SF作品の描く地獄絵図が現実のものとならず、このような先進的な技術が戦争ではなく人々の生活に役立つ使い方をされる事を願いたい。

 

Yu Ando

*Discovery認定コントリビューター

フィンランド在住のライター。執筆分野は、エンタメ、ガジェット、サイエンスから、社会福祉やアートに文化、更にはオカルト系まで幅広い。ライター業の傍らアート活動も行っているほか、フィンランドや日本で両国の文化を紹介する講演を行うことも。
thxpalm.com